| エンタープライズ:ニュース | 2003/09/29 16:55:00 更新 |
Windows Media 9に見るテクノロジーとビジネス
第1回 WM9が切り開くか? デジタルシネマの本格幕開け (2/2)
WM9は、再生ソフトとなる「Windows Media Player」、配信サーバソフトの「Windows Media Server」、圧縮フォーマットの「Windows Media Audio/Video」、エンコードツール「Windows Media Encoders」、著作権管理技術(DRM)の「Windows Media DRM」などで構成される。
デジタル化されたコンテンツは、コピーが容易かつ安価に行えるため、デジタルシネマの普及には海賊行為を防止するDRM技術が課題の1つとして指摘されているが、WM9ではデジタルメディアファイルを暗号化し、それら複合化のライセンス持つ人だけが再生できる機能を搭載するなど、安全な配信を可能とした。また、インターネットでの配信を想定したファストストリーミング機能、5.1Chサラウンドなどにも対応し、映画配信のための技術的な基盤をそろえている。
国内で6月に発売された同社の最新サーバOS、Windows Server 2003には、配信プラットフォームとなるWindows Media Servicesが搭載されており、デジタルシネマのソリューションプラットフォームとして活躍する可能性が出てきた。
Windows Server 2003を使ったデジタルシネマコンテンツ配信ソリューションを提供するNECは、「StreamPro/DistributionSystem」でコンテンツ配信市場の開拓を推進している。
水平展開を糸口にする3社
デジタルシネマ構想への道のりは技術的に近そうに見えるが、実現はなかなか厳しい。今回協力した3社は今後、WM9を使いミニシアターや公共ホール、カラオケ施設などへ配信ソリューションを提供していく戦略をとるという。既存の映画館の上映システムをターゲットに置き換えを狙うよりも、簡単にデジタルシネマのメリットを享受できる裾野を拡大する方が実利的だからだ。
理由は、現在の映画産業の構造にある。「製作」、「配給」、「興行」と3つビジネス形態を持つ企業が存在し、それぞれの思惑がデジタルシネマシステムの導入コスト負担を嫌っているのだ。デジタル技術により表現の幅が圧倒的に広がる製作に比べ、映画館サイドにとってみては、1館で収容できる人数に限界があり、フィルムでもデジタルでも興行収入が大きく変わる可能性は小さい。「デジタルシネマで恩恵をこうむれるのは、製作から配給まで一気通貫できるところだけだ」との声も聞こえてくる。
2002年10月に米Boeingデジタルシネマ事業部が、米英1000スクリーンに対してシステム提供すると発表しながら、その後成果が報告されていないのも、この理由によるところが大きいといわれる。
WPC EXPOで上映を担当したマイクロソフトの大雲氏は、「プロジェクターさえあれば、どこでもPCを使って上映でき、必ずしも映画館である必要はない」と、このシステムのメリットを口にする。
シネマコンプレックスなど地方での映画鑑賞の道は広がりつつあるが、それでも、まだ見たい映画が見られないところが多い。こういったシステムであれば、公民館などでも簡単に上映できるようになると期待される。まずは底辺を広げることが普及の糸口となりそうだ。
「まだまだ、映画を流すニーズのあるところは多い。デジタル化で映画鑑賞の機会を広げられれば」と、今回の担当者たちは語る。デジタルシネマ構想はいま活路を模索している。
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