エンタープライズ:ニュース 2003/10/03 20:20:00 更新


PwCの買収で総合力に磨きをかけるIBM

IBMビジネスコンサルティング サービスはプレス向けにブリーフィングを開催した。PwCとIBMの統合のメリット、今後の展開などが説明された。

 2002年の7月末、米IBMが米PricewaterhouseCoopers(PwC)を統合するというニュースが走ったことは記憶に新しい。社名はIBMビジネスコンサルティング サービス。インフラなど下流に強いIBMと、経営層などの上流に強いPwCが統合することで、顧客企業へのシステム提案における総合力に磨きをかけるのがIBMの第一の狙いだ。10月4日、IBMビジネスコンサルティング サービスはプレス向けにブリーフィングを開催し、今後の展開について話した。

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IBMビジネスコンサルティング サービスの清水照雄社長

 従業員数はIBMが160カ国32万人、PwCは150カ国15万人を擁していた。同社の清水照雄社長は、「(企業システムは)80年代はMRPなどによる“改善”、90年代はERPを中心とする“改革”、そして、今はTransoformation(変革)の10年を過ごしている」と話す。

 変革のプロセスは、最初は、不採算部門の閉鎖やリストラによる「コストカット」が中心になっているが、今後は、新たなビジネスモデルの構築、業務プラットフォームの再構築、効率的な運用プロセスの確立などによる「投資」に質が変化していくという。

 同氏は今後の戦略を語る上で、やはり、「オンデマンド」および「シェアドサービス」をキーワードとして挙げた。システムをそれぞれが作っているのでは間に合わないため、「いいものを外から持ってきて組み合わせる」という考え方だ。

 そのため、アプリケーションの統合が今後は重要になるという。その上で、顧客から見て、ビジネスコンサルティング、ITコンサルティング、開発、運用というすべてのフェーズを通じて、質の高いサービスを提供できるスキルを持つことが新会社の特色としている。また、これまでのIBMが、主に顧客の情報システム部とビジネスを行っていたこと、PwCはCEOやCFOと話をする機会が多く、両社が統合することでバランスが取れることもメリットとして挙げている。

 一方、顧客によっては、サーバプラットフォームなどにIBM以外の製品を使いたいといったニーズが出てくることは当然ある。ここで、「状況ごとにベストの製品を選択するというよりは、IBM製品を売りつけられるのではないか」というのが、当初、PwCに突きつけられたコンサルティング企業としての中立性への懸念だった。

 これについて清水氏は、「必ずしもIBM製品を使ったもらうということはない」と話す。同社とIBMは組織としては別会社であることにも触れた。IBMを使うケースと、別のベンダーの製品を使った場合との比較を行い、その後は顧客の判断に委ねるという。

 また、PwCの顧客からは「バックボーンにIBMがついてよかった」、IBMの顧客からは「PwCと統合することでビジネス設計などの上流の領域が強くなってよかった」など、ポジティブな声が挙がっているとする。PwCのキーパーソンが退職したということもなかったという。

 一方、今後は、両社の組織を融合させることが大事とする。統合後一年が経ち、両社社員の印象を聞かれた清水氏は、「PwCの社員は元気な反面、粗野な部分がある。一方、IBMの社員の方がおとなしい印象。しかし、顧客企業のCEOやCFOにもズケズケとモノを言うPwCの社員を見てすばらしいと思った」と話している。

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[怒賀新也,ITmedia]