エンタープライズ:ニュース 2003/10/08 22:40:00 更新

Windows Media 9に見るテクノロジーとビジネス 第2回
基調講演:PCと家電の協力でまったく新しいAV体験が生まれる、MSマジディマール氏

「PCと家電の協力により、これまでになかったまったく新しいAV体験ができるようになる」。米Microsoft Windows Digital Media部門ゼネラルマネジャー、マジディマール氏がCEATECで基調講演を行った。

 PCと家電の共存が始まった。PCが登場してから約20年。その間、家電は家電としての歩みを続け、PCはPCの道を進んできた。ここにきて家電は使いやすさを求めPCの一部機能を取り込み、PCはネットワークを介して家電とつながろうとしている。

 米MicrosoftのWindows Mediaテクノロジーを統括しているWindows Digital Media部門ゼネラルマネジャー、アミール・マジディマール氏は、このように語りCEATEC JAPAN 2003の基調講演を始めた。

アミール・マジディマール氏

「PCと家電の協力により、これまでになかったまったく新しいAV体験ができるようになる」とマジディマール氏


 別々だった2つの道が重なり合い、1つの道になろうとしている。

 マイクロソフトはデジタルメディア戦略において、あるメッセージを打ち出している。“Digital Media Everywhere”というものだ。「音楽を自分の好きなデバイスに入れて持って歩くことができ、いろいろの場所でビデオを見ることができるという、いたってシンプルな考え方だ」とマジディマール氏。

 このため、マイクロソフトはPCだけでなく、家電やコンテンツも同様に重要だと考えているという。マジディマール氏によると、同社はこれらの領域に対して技術を提供してきている。PCには、Windows Media Audio/Video 9(WMA/V9)という圧縮フォーマット、そしてコンテンツの再生と管理機能を提供するWindows Media Player。PCとの接続を求める家電に対しては、ユニバーサルプラグアンドプレイ(UPnP)と柔軟で低コストなライセンス体系。コンテンツに対しては、マイクロソフトがパイオニアとなったDRM技術――といった具合だ。

3つのビジョン

この3分野でまだ課題を抱えているといい、これからも取り組んでいかなければならないという


フォーマットのライセンス体系をアピール

 「(映像用の圧縮フォーマットの)WMV9はMPEG2の3倍、MPEG4の2倍の優れた圧縮技術だ。ライセンス料も安く、コンテンツや配信に対する追加ライセンスもない」(マジティマール氏)。また、WMAに関しては、Windows Media Audio 9 Proが7.1chのマルチチャネルに対応している。「MP3と比較すれば、同じ転送レートで6チャネル分の音声を実現できる」(同氏)という。

 マイクロソフトは先月、これらの圧縮技術をWindows以外のデバイスに広く採用を進める目的で、SMPTE(全米映画テレビジョン技術者協会)に提出。オープンなライセンス体系を目指している。マジディマール氏によると、来年にも標準化が終わる見込みだ。

 最新のWM9に対応するデバイスも広がり始めている。この日、マイクロソフトはWM9に対応したデバイスがDVDプレイヤー、CDプレイヤー、STB(セットトップボックス)、カーステレオ、ポータブルオーディオなど400種類以上に達したと発表している。1月のCES(Consumer Electronics Show)で発表された200種という数字の2倍になった格好だ。

 同時に、WMA9 Proに対応した最上級AVアンプもパイオニアから11月下旬に発売されることも明らかにしている。このAVアンプ「VSA-AX10Ai-N」の発売にあわせて、WOWOWはブロードバンド配信サービス「WOWOW NEXT ENTERTAINMENT GENETICS」で、HD&5.1chサラウンドによる高品質コンテンツの提供を強化していくとしている。

河野万邦氏

HighMATのデモを見せる河野氏


 またマジディマール氏は、松下電器産業と共にPCと家電でオプティカルメディアの互換性を持たせるためHighMATという規格の音頭を取っていることも紹介。HighMATのデモを行ったマイクロソフト ニューメディア&デジタルデバイス本部の河野万邦エグゼクティブプロダクトマネジャーは、「PCと家電が融合する中で新しい視聴スタイルを打ち出すものだ」と説明した。HighMATは互換だけでなく、ディレクトリ構造を持つナビゲーションをDVDプレイヤーなどに提供する。まだ数は少ないが15以上のベンダーが製品やソリューションを提供している状況だという。

 マジディマール氏は最後にこう語っている。「PCと家電の協力により、これまでになかったまったく新しいAV体験ができるようになる」。

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[堀 哲也,ITmedia]