エンタープライズ:ニュース 2003/10/14 19:38:00 更新


ゲイツ氏のTelecom World 2003基調講演は、「モビリティ」一色

ITU主催のカンファレンス、Telecom World 2003でビル・ゲイツMicrosoft会長は「モビリティ」に関するMicrosoftの取り組みを語った。(IDG)

 ビル・ゲイツ氏はほぼ満員となったTelecom World 2003会場のセンターステージに立ち、Microsoftが企業、キャリア、そして個人に対し、PCと携帯の世界とのブリッジとなり、より簡単で効率的、そしてなによりも安全な技術を提供すると語った。

 Microsoftの会長兼チーフ・ソフトウェアアーキテクトであるゲイツ氏は10月13日、International Telecommunication Union(ITU)がジュネーブで開催中のイベント、Telecom World 2003で、このイベントにおける明確なメインテーマである「モビリティ」に絞り込んだ。ゲイツ氏のメッセージは、ソフトウェアはPCと携帯の世界のそれぞれに必要であるだけではなく、この二つを結びつけるために必須である、というもの。そしてMicrosoftは毎年数十億ドルを研究開発費に使っており、これからはモビリティソフトウェア・プラットフォームに多大な投資を行っていくと述べた。

 Microsoftが携帯分野で主役の一人となる決意をしたことを物語る一例が、MicrosoftとVodafone GroupがPCと携帯電話用にアプリケーションを作成するためのツールを開発するという発表である。

 目標は、デベロッパーが既存のウェブサービス技術であるXML (Extensible Markup Language) などを使って携帯とコンピュータの世界をリンクさせることだ。しかし、それを実現するには、GSMネットワークの認証システムをウェブサービスのセキュリティプロトコルを通じてPCアプリケーションとデータ交換するといった新しい仕様を決める必要があると、Microsoft幹部は語った。

 Microsoftはこの新サービスの仕様に関するロードマップを今月後半、デベロッパー向けカンファレンスで明らかにするとゲイツ氏は述べた。デベロッパー向けのワークショップも開催される予定。Vodafoneとの提携に関する情報は、ここから。

 ゲイツ氏は、有線でも無線でも、ネットワークのバンド幅が拡大し、電話会社はリアルタイム会議、イメージング、インタラクティブTVなど、数多くの新サービスを提供しやすくなるだろうと予測する。同氏はまた、ケーブルと電話会社がブロードバンドインターネット接続を通じて新規もしくは既存のTVサービスを提供するための新しいソフトウェアも紹介した。

 このソフトウェアのプロトタイプは、Internet Protocol Television (IPTV) delivery systemと呼ばれており、Telecom World 2003の展示会で公開されている。

 Microsoftの「アキレス腱」と広く認識されているセキュリティに関し、ゲイツ氏はスパムを含む攻撃を回避するためのソフトウェアを設計することに重点的投資を行っていくと述べた。「特に話しておきたいトピックは、スパムのことだ。PCでは既に広まっており、携帯の世界でも台頭している」と同氏。

 ゲイツ氏はショウで発表されたいくつかのモバイル対応ソフトウェアを紹介した。Wi-Fiアクセスを改善したWindows XP、Windows Server 2003も含まれる。

 Microsoftは新技術のWPS (Wireless Provisioning Services) により、ビジネスまたは個人ユーザーが無線LANのホットスポットにアクセスしやすくなるだけでなく、通信会社がこれらのネットワークをより簡単で安価に提供できるようになる。WPSテクノロジーは二つのコンポーネントから構成される。通信サービスプロバイダー側が使うサーバソフトウェア、そしてノートブックPCや携帯デバイスにインストールされたクライアントソフトウェアだ。

 MicrosoftのWindows Mobile 2003対応携帯電話のユーザーは大量のデータトラフィックを消費しているので、携帯電話会社にとっては新たな収入源となっているとゲイツ氏。同氏は、フランスのOrangeの英国法人が発表したばかりの携帯、SPV E200のソフトウェア強化ポイントについてもいくつか説明した。

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