エンタープライズ:ニュース 2003/10/21 17:19:00 更新


IT市場活性化を狙うJava Enterprise Systemが国内デビュー

サンがサーバ向け基盤ソフトウェアセット「Java Enterprise System」の国内販売を開始した。同社が「ソフトウェアの再定義」と呼ぶにふさわしい革新性を秘めている。

 サン・マイクロシステムズは10月21日、同社の200以上のソフトウェア製品と関連サービスを統合した新しいソフトウェア製品体系「Sun Java System」を国内発表し、その第一弾としてサーバ向け基盤ソフトウェアセット「Java Enterprise System」(コードネーム:Project Orion)を販売開始した。ネットワークアイデンティティ、Web&アプリケーションサーバ、ポータル、コミュニケーション&コラボレーション、高可用性、およびセキュリティの各種基盤ソフトウェアが統合され、四半期ごとに提供される。

 Sun Java Systemは9月中旬、サンフランシスコの「SunNetwork 2003」カンファレンスで発表された。Java Enterprise Systemのほか、「Java Desktop System」、開発者向けの「Java Studio」、携帯端末をサポートするための「Java Mobility System」、よりセキュリティの高いシステム向けの「Java Card System」、およびシステム管理のための「N1」がある。オープンなインタフェースをベースとしつつ、統合の複雑さを排除したい顧客やパートナーのニーズにこたえることがその狙いだ。

 記者発表で日本法人のダン・ミラー社長は、「顧客らは完成された自動車を欲しがっている。窓とかタイヤとかではない」と話す。

 分かりやすい、そして安価な料金体系もSun Java Systemの大きな魅力だ。

 この日、販売が開始されたJava Enterprise Systemの使用料金は、従業員一人当たり年間1万1000円。ユーザー、CPU、あるいはトランザクションで弾き出していた従来の価格体系とは比較にならないシンプルさだ。従業員数は、財務諸表などで公表されるものが通常は適用される企業が彼らの顧客にサービスする場合にも追加のライセンスは不要だ。従来の販売形態も残すものの、年間使用料金という新しい体系への移行を進めていくという。

 ソフトウェア事業を統括するジョナサン・シュワルツ執行副社長がSunNetwork 2003カンファレンスで強調したとおり、「ソフトウェアの再定義」にふさわしい革新性を秘めている。

 Sun Java Systemのメリットを享受できるのは、データセンターから複雑さを排除し、コストも引き下げたいと考えている顧客だけではない。Sunのパートナーらは、日々、顧客からの求めに応じてさまざまな製品間の動作検証を繰り返している。ISVらもアプリケーションの動作検証が大きな負担となっている。彼らも基盤ソフトウェアの複雑さから解放され、本来のビジネスインテグレーションやアプリケーションの開発に専念できるとSunでは主張する。

 「サン、パートナー、そして顧客のすべてに利益をもたらし、IT業界を活性化できる」とミラー氏。Java Enterprise Systemには、既に26社の国内パートナーが賛同している。

 「Sun Java Systemは、Javaと同じコンセプトを持っている。それはイネーブラーであり、これを活用することで市場は大きく拡大できる」(ミラー氏)

 Java Enterprise Systemは、Solaris 9(SPARC版およびx86版)とSolaris 8(SPARC版)で動作するほか、今後はLinuxにも対応していくという。なお、来春にはJava Desktop SystemとJava Studioの出荷も開始される。

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関連リンク
▼サン・マイクロシステムズ

[浅井英二,ITmedia]