エンタープライズ:ニュース | 2003/10/30 00:57:00 更新 |
Oracleが開発センターを北京に開設、“紅旗”Linuxとの協業を軸に中国政府市場に照準
米Oracleが中国では2番目となる開発センター「CDC」を北京郊外の中関村に開設した。同センターが取り組むプロジェクトの筆頭には、「Unbreakable Linux」が挙げられ、Red Flag Linuxとの協業を軸に政府市場を狙う。
東京よりも肌寒いものの、すがすがしい秋晴れとなった中国・北京で10月28日、米Oracleが「China Development Center」(CDC)を正式にオープンさせた。同社は昨年6月、中国南部の広東省シンセンに最初のCDCを開設したばかり。SARSの影響を受け、北京CDCの開設が若干遅れたものの、その急ピッチともいえる研究開発投資は、ITへの需要が急速に伸びているのを反映したもの。同社は昨年6月、北京でOracleWorldカンファレンスを開催している。
ハイテク企業の研究施設が集積していることで知られる北京市郊外の中関村では28日朝からオープニングセレモニーが行われた。一帯は「中関村ソフトウェアパーク」と呼ばれ、建設中のビル群がぐるりと囲んでいる。
冒頭挨拶に立ったアジア太平洋地域を統括するデレク・ウイリアムズ執行副社長は、「中国は、WTO加盟や、2008年には北京オリンピックを控え、目覚しい成長を遂げている。ハイテクへの旺盛な需要があるが、Oracleだけではそれを満たすのは難しい。パートナーらとの共同開発や技術移転を通じて固有のニーズにこたえたい」と北京CDCの意義を話す。
日本オラクルも日本版製品に関するQA(品質保証)作業を北京CDCに移管するなど、ワールドワイドの開発リソースを効率的に活用できるというメリットがあるものの、やはり北京CDC開設の最大の狙いは、中国市場そのものにある。
オープニングセレモニー後、近くのホテルに場所を移して行われたプレスQ&Aセッションでウイリアムズ氏は、「既にオーストラリアやインドなどにも開発センターが展開されているが、中国の2つのCDCは、ローカル市場(Unicodeベースのダブルバイト圏)にフォーカスしている点でほかとは異なる」と話している。
また、中国でCDCを統括するパスカル・セロGMは、2つのCDCが担う役割の違いについても次のように説明する。
「地域的に香港や上海をカバーするシンセンCDCがファイナンスやテレコムのソリューションを開発しているのに対して、北京CDCは政府向けのe-ガバメントソリューションなどにフォーカスする」(セロ氏)
中でもセロ氏が挙げたのが、政府および北京市とのプロジェクト。事実上の国策会社と言ってもいいRed Flag Linux(中国名:紅旗リナックス)との協業によるものだ。今年5月、Oracleは中国の政府市場に食い込むべく、Red Flag Linuxの「Red Flag Data Center OS 4.0」をOracle9i RAC(Real Application Cluster)が動作するプラットフォームとして認定している(ほかにRAC認定されているLinuxはRedhat LinuxとUnitedLinuxのみ)。北京CDCでは幾つかの主要なプロジェクトにフォーカスしているが、Red Flag Linuxとの「Unbreakable Linux and Support Lab」はその筆頭だ。
北京CDCの内覧会でもNEC Express5800サーバにRed Flag Data Center OS 4.0とOracle9i RACを組み合わせ、堅牢性とスケーラビリティを併せ持ち、なおかつ、ローコストなシステム基盤を構築できる「Unbreakable Linux」のソリューションがデモされた。招待された北京市副市長のファン・ボユアン氏とRed Flag Linuxのリュウ・ボー社長兼CEOが並んでデモの説明を受ける姿も見られた。
このほか、北京CDCがフォーカスするプロジェクトは、短期間で本番稼動が可能な中堅企業向けの「E-Business Suite Special Edition」、携帯電話向けに位置情報を基にしたサービスを提供する「Wireless Solution」などがある。E-Business Suite Special Editionは、システム総額が3000万円クラス(日本円換算)で導入可能なノンカスタマイズ版。Oracleによれば、中国で既に100以上の案件を抱えているという。ちなみにE-Business Suiteの現在のインストールベースは150社250サイトという。
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Oracle World 北京 2002 レポート
[浅井英二,ITmedia]