エンタープライズ:ニュース | 2003/11/19 16:33:00 更新 |
「業界のスキル不足だった」MSが中小企業IT化支援策を強化
マイクロソフトは中小企業のIT化支援策を強化した。業界団体、中小企業支援団体などをアドバイザーに迎え、金融支援策も含め強化していく。
マイクロソフトは11月19日、中堅・中小企業を対象としたIT支援策を大幅に強化した。これまで「全国IT推進計画」の名で推進してきた施策を政府が推進するe-Japan戦略IIに呼応させ、啓発を中心としたインフラ整備からITの利活用に重点ポイントをシフトさせるという。
新たなフェーズに移行する全国IT推進計画IIでは、自治体や業界団体、中小企業支援団体などをアドバイザーに迎え、助言を反映していく体制を整えたほか、新たに(1)中堅・中小規模事業所向けコンサルタントの育成、(2)IT導入向けた金融面での環境整備、(3)中堅・中小規模事業所IT化事例の映像データベース化、という施策を打ち出した。
コンサルタントの育成では、経産省資格のITコーディネータやオープンコンサルティングプロジェクトのビジネスプロデューサ資格者を対象にしたマイクロソフト認定資格「MCSC」を新設。12月にも発足する予定の税理士・公認会計士のITコーディネータ取得者組織「全国IT推進研究会」を全面的に支援することで、これまでのITありきの提案から経営という観点に踏み込んだ提案を行える体制を作り出す。
中小企業のIT導入を資金面でもサポートするため、2004年1月からオリックスやダイヤモンドリースと協力して、ファイナンシング・サービスの枠組み提供。資金面での相談があった際には、MCSEの推薦を与信審査に活用できるようにする。
また、パートナーから要望が多かった事例を経革広場などを通じて、3年で500件公開していくとしている。このほか、いままでの施策の強化も図られる。
眞柄泰利マイクロソフト常務執行役(ゼネラルビジネス統括本部東日本・西日本営業本部担当)は、「一つの課題は、業界そのもののスキル不足にあった。実ビジネスとの接点を求めたい」と、フェーズIIでの施策に至った経緯を説明。マイケル・ローティング社長は「市場に対して刺激を与えることが重要と考え、業界とのコラボレーションを広げることが重要性にいきついた」としている。
マイクロソフトにとっては、2年間の全国IT推進計画で「商工会議所や地方自治体と話をできるレベルにまで経験を積んだ」(眞柄氏)ことが最も大きな成果だったようで、公的団体などとの連携体制を今回アピールしている。
アドバイザーを務める全国地域情報団体連合会(ANIA)の辻 正会長は、発表会の席で「“ITバブルは崩壊した”などとマスコミが言って、中小企業はITをやらなくてよかったという印象を持ってしまった」と述べており、今後、売り手と買い手のスタンスのズレを修正できるかが、マイクロソフトにとって中小企業戦略の鍵となりそうだ。
IT推進全国会協賛パートナーを代表して大塚商会の大塚裕司社長は、「私の視点からも中小企業のIT導入は遅れている。何を提供するのではなく、何が変わり、何ができるのか、分かりやすい提案が求められている」と述べている。
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[堀 哲也,ITmedia]