エンタープライズ:ニュース 2003/11/21 17:39:00 更新


オープンソースツール対応とチーム開発を支援するJBuilder X 日本語版を発売

企業における開発ツールは開発者の好みだけでは決められない。そんな現状にも対応すべく、ボーランドはJBuilder Xに開発コストへ組み込みやすいよう2つの価格体型を用意した。

 ボーランドは「JBuilder X 日本語版」を機に、オープンソース利用の開発者を意識し、企業における開発シーンを考慮する価格設定パッケージを用意した。

 11月20日、ボーランドは10月21日に米国で発表されていた(参考記事)Java開発アプリケーション「JBuilder X」の日本語版発表を行った。発売は12月8日。

開発環境の統合はチーム全体の開発力アップに結びつく

 発表会で語ったボーランド、マーケティング部長・藤井 等氏は、開発環境における現状として「とにかく早く安く、そして納期厳守で作ってほしい」との要望が多いと語る。その短期化はますます顕著になり、最近では3カ月も短期な部類といわないほどだと強調する。そのような中で次なる問題点となるのは、作成後に改良しなければならない要求であり、またその納期も短縮化される傾向にある、と開発者への負担を気づかう。

 藤井氏は、開発におけるシーンを2つに分類した。1つ目の開発ツール導入による効率化については、すでに、ある程度の水準に達しているため、更なる効率アップへとは結びつきづらいという現状。そして2つ目は、Strutsに代表されるフレームワークの導入も見られるが、習得にはかなりのスキルが要求されるため容易に効率アップへとつながらない可能性の点だ。そして、いずれの場合でも個人の効率アップにとどまる点を指摘する。「これからはチーム全体の効率アップを考えなければならない」と言い、開発統合環境の必要性を強調した。この際、開発統合による懸念としては、多機能さと天秤にかけられる処理速度への影響がある。しかし、「JBuilder Xでは開発環境のカスタマイズを可能とし、機能の追加や削除をXプラットフォームと呼ぶ構造で実現した」と藤井氏。

JBuilder Xで実現したのはオープンソースユーザーへのアピールとチーム開発による効率アップ

 米国リリース時の参考記事にもあるよう、今回のバージョンアップでは、オープンソースとの協調がポイントの1つになっている。オープンソースのフレームワーク「Struts」では、一般的にXML記述であることが知られるが、JBuilder XのWebアプリケーション開発では「Strutsデザイナ」と呼ぶビジュアル環境が提供される。「Strutsで構築したコードメンテナンスにも役立ち、ビジュアルで行える点が優位性だ」と藤井氏。

 また、オープンソースのJ2EE対応アプリケーションサーバ「JBoss」との連携も強調された。これは、特集「ボーランドのJava開発ソリューションで始めるALM開発のすすめ」でも触れているように、利用するアプリケーションサーバが異なっても開発環境に統一性を持たせることができるサポート機能だ。

StarTerm統合によるチーム全体の開発効率向上を実現

 さらに、今回のバージョンアップで上記以外の大きなポイントとなるのは、チーム開発に関わる変更管理環境の統合。オープンソースでは同じようなツールとして「CVS」が知られているが、コマンドライン前提であり簡易的なWeb管理手法もあるものの、馴染みづらいとの見解が多いのも事実。JBuilderなどIDEとの連携を考えればなおさらだ。

 ボーランドは、「StarTerm 5.4」による変更管理ソリューションの統合をJBuilder Xに実装した。JBuilder X上ではメニュー操作による連携が可能となり、ソースコードのバージョンの管理機能はもちろん、開発プロセスでのタスク管理やディスカッションを行う機能などが含まれる。発表会では、プロジェクトマネージャと開発者のやり取りが実演され、JBuilder Xを利用したコードバグへのリクエストや修正報告などが、同ソフト上で完結可能なことを示した。

継続的なユーザー以外にも単発開発案件にも対応する価格体型

 JBuilder X 日本語版のパッケージ構成は、「Borland JBuilder X Enterprise」(300,000円、360,000円)と「Borland JBuilder X Developer」(68,000円、98,000円)が用意され、それぞれのパッケージには年間バージョンアップ込み(前者価格)と含まれないもの(後者価格)が用意される。さらに2004年第1四半期中には、Webをターゲットとしない用途を想定したノンサポート版「Borland JBuilder X Foundation」もリリース予定だ。

 なお、同社サイト上では12月3日からJBuilder製品情報ページにて、「オンラインセミナー」が公開される。実際のソフトの動きが実感できるよう、画面を見せながら体験できる点が特徴になるという。

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[木田佳克,ITmedia]