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2004/02/05 11:27:00 更新


パートナーマップの構築を――ENTERASYS Networks ROARSラウンドテーブルでパートナーから

タイのパタヤにて開催中の「ENTERASYS Networks ROARS」は2日目を向かえ、パートナーとの意見交換を行うラウンドテーブルが催された。エンテラシスの新戦略はパートナーの目にはどう映ったのか。

 タイのパタヤにて開催中の「ENTERASYS Networks ROARS」は2日目を向かえ、各国のパートナーとの意見交換を行うラウンドテーブルが催された。日本のテーブルには20名ほどが集まったほか、コス氏も同席した。彼によると、「日本は重要なマーケットと認識しているから」と話す。

パケットの転送ではない、情報の転送だ

 この中で、エンテラシスの土本氏が改めて今回の狙いについて説明を行った。同氏が語った内容は、以前、記者に語った内容をほぼそのまま繰り返す形となった。まとめておくと、同社は今後、競合ベンダーとの差別化を図るとともに、ソリューションビジネスの拡大を図ることで、価格競争による均質化したコモディティマーケットから主戦場を移すつもりである。

 差別化のポイントとして挙げているセキュリティは、単にパケットレベルではなく、そのパケットが意味する「どこから、誰が、どんな、どこに」といった情報を基に判断する形であり、それらを適切にコントロールすることで、ビジネスは展開していくのだとする。そしてこれらの訴求先は、現場のIT担当者というよりは、特に経営層に対して行っていくという。

「これまでは、「繋がる、早い、安い」という価値基準があったことは間違いない。しかし、こういった箱売り的な考え方からソリューションビジネスへの流れは非連続曲線であり、これまで勝利を収めていたベンダーがこの新しい市場でも引き続き勝てるとは限らない。また、今や、IDSやアンチウイルスなど、さまざまなベンダーの製品が混在して存在するシステムも多い。しかし、ひとたびウイルスが発生すると非常に短期間で感染が広がってしまうような現在、このようなパッチワーク的なセキュリティシステムで本当に大丈夫なのかという問題意識を持ってもらいたい」(土本氏)

 その上で、エンテラシスが10年間かけて培ってきた技術を集大成したものを今実現可能な形で提供することで、ネットワーク業界の勢力図を塗り替えようとパートナーに呼びかける。

望まれるのはSI間の繋がり?

 Q&Aでは、短い時間ながら多くの質問や要望がパートナーから寄せられた。

 シスコのインストールベースが多い現状を鑑み、既存のものにどうやって割り込ませていくかを知るためにもっと詳細な情報を望む声や、各ベンダーが提案しているセキュリティソリューションと比べた場合の差異についての説明を求める声が多く出た。エンテラシスのシステムだけでシステムを組むということは新規でなければ考えにくいため、当然の声だといえる。差異については、現時点ですぐにでも提供できることが大きいという。

 また、ハードウェアやバックプレーンに対する信頼性を重視する顧客に対して、エンテラシスはどのように考えているのかという質問に対しては、コス氏が日本市場に対して注目していることと、自身が大の日本好きであるということで、日本で起きた問題に対しては、先導して対応すしていくという。

 なお、同社のIDS「Dragon」の後継を求める声に対し、エンテラシスは、Dragonの最新版(バージョン7)を2004年の遅くとも4月中にはリリースするとしている。このバージョンでは、パフォーマンスの改善、マネジメント機能の強化、GUIの改善などが行われるという。このうち、パフォーマンスについては、マルチスレッドに対応することで、大幅なパフォーマンスの向上が見込める。すでに一部の顧客からはより広帯域に対応したIDSを欲する声もあるため、パートナーにとっては嬉しい知らせだろう。

 現場が抱える現状の改善を望む声が多く寄せられた格好となったこの場で、日本アイ・ビー・エムのネットワーク事業部製品・サービス企画部長の伊佐治一彦氏は、自社で行った調査の結果に基づいた論を展開する。それによると、IPコンバージェンス、セキュリティの分野が年次成長率でそれぞれ約70%、約50%延びるという。IPコンバージェンスのほうが成長が見込める分野であるとしながらも、セキュリティの特徴として、IPコンバージェンスに限らず、すべてのネットワークソリューションに絡んでくるものなので、これからも大きく伸びることは間違いないと話す。

「現在の市場というのは、小さなパイを取り合っているのではなく、パイはここにいるパートナーさん全てでもカバーできないほど大きくなり続けています。今後企業は個人情報保護法案への対応が必須となることもあり、この部分の需要も多く寄せられるでしょう」(伊佐治氏)

 このため、一社だけではカバーできないような案件についても、パートナー同士が連携することで対応する体制作りが必要ではないかと、パートナーマップ構築の提案を行った。

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[西尾泰三,ITmedia]

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