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2004/03/11 18:11 更新


ストレージ分野で仮想化に注力するNEC、NAS仮想化装置も投入予定

NECは、同社のストレージ「iStorage」についての事業戦略説明会を開催した。2004年度はコードネーム「NASスイッチ」と呼ばれる仮想化装置を投入するなど、「仮想化」を戦略の中心にすえる。

 NECは3月11日、同社のストレージ「iStorage」についての事業戦略説明会を開催した。2004年度はコードネーム「NASスイッチ」と呼ばれる仮想化装置を投入するなど、「仮想化」を戦略の中心にすえる。

 2001年からSAN製品やNAS製品の統一ブランド「iStorageシリーズ」を出荷しているNEC。出荷台数ベースで前年比50〜60%の伸び率を示していると、胸を張る分野。会見した大森祐三執行役員も「オープンサーバでは歯がゆい思いをしたが、自由度の高いストレージはNECの力を発揮できる」と話した。

 NECでは2004年度、ストレージ分野でトレンドとなっている仮想化に力を入れ、既に定評を得ている高性能・高信頼性ハードウェアに「構成」「時間」「場所」を意識させない仮想化機能を積極的に取り込んでいくという。構成の仮想化とは、ストレージをプーリングして一元管理を可能にするもので、時間の仮想化とは、バックアップ/リストア時間の短縮化を意味する。場所の仮想化とは、遠隔地へのバックアップのことを指しているという。

 2004年度の計画では、(1)複数ベンダーのストレージ間でのプーリングを可能にし、データの適正配置の実現、(2)スナップショットによる複製バックアップのコスト削減、(3)災害時にバックアップセンターに瞬時に切り替えるディザスタリカバリー――などが強化ロードマップとして示されている。また、高性能・高信頼性という点では、得意とするスパーコンピュータやメインフレームの技術を流用していくともしている。

 NECはNASの構成の仮想化にも注目している。コードネーム「NASスイッチ」の名称で現在開発中の、NAS仮想化装置も2004年度後半に投入する予定だ。

 システムプラットフォーム研究所ストレージシステム主任研究員の梶木義裕氏によれば、NASスイッチは配下のNASを仮想化する装置で、多ベンダーで構成されるNASをユーザーからは仮想的の一つファイルサーバとして見せ、運用中でもNASの追加やストレージ間でデータの再配置を可能にする。NASヘッドのようにそれ自体にファイルシステムを持つものではなく、ルータのように動作するものだという。

 NASスイッチに関してはすぐにという需要があると見ていないが、データ容量が年率1.7倍で増加するなか、NASの増設、リプレースなどでニーズは確実に出てくるとにらんでいる。

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[堀 哲也,ITmedia]

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