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2004/03/30 17:12 更新


基調講演:IFS Applicationsはステップバイステップで構築するERP

「IFS World Conference 2004」の基調講演で、マイケル・ハレンCEOが、IFS Applicationsの柔軟性と同社の今後の方向性などを話した。

 米フロリダ州オーランドで「IFS World Conference 2004」が3月28日から4日間の予定で開催されている。3月29日に基調講演が行われ、同社のマイケル・ハレンCEOが、IFS Applicationsの柔軟性と同社の今後の方向性などを話した。また、ユーザーを代表する形で、軍事防衛、航空宇宙の分野で、世界最先端レベルの技術をベースにした製品を提供するロッキード・マーチンが講演を行った。

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「業種別のフォーカス、グローバルビジネスを意識することが重要」と話すハレン氏。だが、「何よりも優先するのは顧客」という。

 ハレンCEOは冒頭、「IFSは顧客企業とともにコンポーネントを発展させてきた」と強調した。同社の特徴は、業界研究を入念に行い、その上で、顧客に導入したソースコードをIFSのコンポーネントとして積極的に取り入れてきたことにある。実際のユーザーの視点が盛り込まれており、それが、IFSのコンポーネントが現場寄りの業務にマッチしている理由ともなっている。

 また、いわゆる「ビッグバン」型の導入を理想とするSAPをはじめとしたERP製品との違いも、機能ごとに細かくわかれたコンポーネントベースになっていることが鍵になるという。必要なコンポーネントを選択して、少しずつ(ステップバイステップで)導入できるため、実ビジネスへの影響を抑えながらシステム刷新が可能になる。

 今カンファレンスのテーマは「Creating Payback Together」。標準的な技術を基盤にしたシンプルなアーキテクチャをベースにすることで、ユーザーがIFSのコンポーネントを自由に自社システムとして導入することが、同社の戦略の基本的な考え方となっている。

 「システムとして“ロックイン”(閉じ込める)しない選択肢を提供することで顧客のリスクを低減できる」(ハレンCEO)

長い付き合いで実現したNECの出資

 同日発表されたNECによる10%(約15億円)の資本出資のニュースは、カンファレンス会場に来ているプレスやアナリスト、IFS社員にとってもインパクトがあったようだ。

 講演後のプレスカンファレンスでハレン氏は、「NECとは7年に渡って協業関係を築いており、それが認められた結果」と話す。出資による協業強化では、中国およびアジアにおけるソリューション事業の共同展開などが含まれる。また、自動車やハイテク業界に共同で取り組むことも視野に入れている。

 主に米国の記者からは、独自システムが主流でERPが導入しにくいとされる日本市場でビジネスが成功するのか、また、中国市場での今後のビジネス成長をどう見込んでいるのか、などに質問が集中した。

軍事分野への導入が多いIFS

 ユーザーとして講演したロッキード・マーチン、シミュレーション、トレーニングおよびサポート担当バイスプレジデントを務めるラルフ・ギッフィン氏によれば、ロッキード・マーチンの顧客の多くが軍事防衛関連という。

 同社は、700人以上のユーザーを対象に、2つの製造拠点にIFSを導入している。利用しているのは、製造、ディストリビューション、エンジニアリングの各コンポーネント。

 また、同社の情報システムは、軍事分野において、IFSを拡張導入する予定という。これには、F-16 Automated Logistics Management System(ALAMS)や、F16の世界での販売を支援するための物流およびメンテナンスサポートシステムなども含まれている。

 今回のカンファレンスで、IFSが最もアピールしているのが、航空分野のMRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)と、軍事関連製品を提供する企業への業種別コンポーネントだ。

 MROでは、業界特有の要件に対応したポータルを利用することで、従業員はリアルタイムの情報を得ることができるようになり、無駄な時間を削減できるという。また、締め切りの管理が的確にできることで、コスト効率を高めることが可能という。

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ロッキード・マーチンの講演では、戦闘機や米兵の訓練シーン、戦闘シーンなどが次々と流れる派手な映像を集めたビデオが紹介された。

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[怒賀新也,ITmedia]

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