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2004/05/04 20:46 更新


復活の兆し見せるi2、「ERPとSCMは別モノ」とサンジブCEO

米i2テクノロジーズは、サンディエゴにおいて、ユーザーカンファレンス「i2 PLANET」を開催した。Nokiaとのパートナーシップ強化、「デルモデル」を拡張する上で、Dellとサプライチェーン効率化に向け一層強い協力関係を築いていくことが明らかにされた。

 米i2テクノロジーズは4月27〜29日、サンディエゴにおいて、ユーザーカンファレンス「i2 PLANET」を開催した。世界の350社からのべ1300人以上の参加者を迎えた。Nokiaとのパートナーシップ強化、「デルモデル」を拡張する上で、Dellとサプライチェーン効率化に向け一層強い協力関係を築いていくことが明らかにされた。また、Qインベストメントと、サンジブ・シドゥ創業者兼CEOによるエクイティファイナンスが実施され、財務的にも強化が進んだことが紹介された。

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「2004年は成長の年になる」と話すサンジブ・シドゥ創業者兼CEO

 「ERPはトランザクションの実行であり、SCMはプランを実行するもの」と話すサンジブ氏。SAPやOracle、PeopleSoftなどの大手ERPベンダーが提供するサプライチェーンマネジメント向けのソフトウェアに疑問を投げかける。

 ERPベンダーの多くは、既にERPを導入済みの企業が、サプライチェーンの効率化を試みる場合に、ERPと同じベンダーのSCM製品であることによる統合のしやすさなどを理由に、SCMのソフトウェアを採用してもらおうと考えていることが多い。

 これに対し、サンジブ氏は、SCMを実行するためのSCP(Supply Chain Planning)ツールなどが、実行するために必要な主要データを必ずしもERPから抽出するわけではないことを強調する。それよりも、企業は、自社の製品価格を随時変更する必要があり、本当の意味で効率的なサプライチェーンを維持するためには、そんたびに需要予測や生産計画などを変更しなくてはならないことに注目するべきとしている。

 ERPと、「計画」を立案するためのエンジンであるSCMツールには本質的な違いがあるため、「SCM専業ベンダーとして、ベストオブブリードとしてのi2のソリューションが求められている」とサンジブ氏はアピールした。

 i2ユーザーとして紹介されたのは、Woolworths、DaimlerChrysler、Samsungなど。また、SCMの優れた導入および運用を実践しているi2のユーザー企業を表彰するケン・シャーマン賞では、松下電器産業がアジア太平洋地区から選出された。そのほか、米国地域では、家電製造業大手のWhirlpool、欧州中近東アフリカ地域からはエアバスが受賞した。

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受賞式に出席し、スピーチをする松下電器産業のビジネスソリューショングループゼネラルマネジャー、矢島孝應氏

他社との協業関係

 29日には、i2とIBMがサプライチェーンマネジメントシステムの構築で戦略提携すると発表された。これは、IBMのオンデマンドオペレーティング環境をベースに、i2のソフトウェアを導入するもの。例えば、ドイツのハノーバーを本拠とするContinental TireがIBMのハードウェアとサービス上でi2のソリューションを稼動し、サプライチェーンを最適化したという。

 また、半導体業界をリードする企業の1つであるInfinionも、i2との協業を強化し、新たに、「i2 Supply Chain Program」に参加することが伝えられた。

 初日のキーノートでは、同社への大口投資家の1つ、Qインベストメントが、1億ドルのエクイティファイナンスを実施することが発表された。これにより、i2が持つキャッシュは2004年3月31日時点の2億9000万ドルから、3億9000万ドルへと増加。サンジブ氏も翌日に、自ら2000万ドルのエクイティ投資を行うと発表している。

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[怒賀新也,ITmedia]

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