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スナイパーがRFIDタグを発射?

» 2004年04月28日 11時57分 公開
[IDG Japan]
IDG

 政府が国家の敵と見なす人物の身体にこっそりと超小型のRFID(無線IC)タグを埋め込んで行動を追跡する――。そんな話を聞いても虚構の世界としか思えないかもしれないが、実際、政府機関の手にこうした技術をもたらそうとしている会社がある。

 デンマーク企業のEmpireNorthが、標的に対し、それと悟られずにRFIDを埋め込む改造銃なるもののデモを行っている。同社のマーケティング資料には次のように記されている。「高性能狙撃用ライフルを遠距離の注射器として使い、GPSマイクロチップを人体に埋め込む。マイクロチップは、人体に埋め込まれても身体に害は及ぼさない。標的が感じる肉体的な痛みもほんのわずか」

 同社のRFID発射体は、標的に事実上、痛みを全く感じさせないという。「数分の1秒、蚊に刺されたような感触がある程度」だとマーケティング資料にある。

 このライフルにはもう一つ、標的の高解像度画像を撮って、スコープからカメラに送る機能が備わっている。RFIDタグから得た画像とデータを、外部モニタリングシステムに送って標的を追跡することが可能だ。

 ライフルと発射体の技術仕様は提示されていないが、豪シドニー大学物理学部関係者は、使われる材料が十分軽量で、射程距離をもとに発射体の速度を計算するなら、こうしたコンセプトも実現不可能ではないとしている。ただし、よほど高速に埋め込まない限り、このようなデバイスを埋め込まれた人あるいは動物が皮膚の通過にそんなに鈍感でいられるかは疑問だという。

 EmpireNorthによると、試作品は米国でデモが行われており、北京で開催のChina Police 2002 Exhibitionにも出展されたという。

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