インタビュー
2004/05/06 22:37 更新

Interview:
Veritasのユーティリティ戦略に企業のCIOはポジティブ評価

ユーティリティコンピューティング戦略を推進するVeritas。この1年で同社はこの戦略を実行に移す下地を整えたかのように見える。ゲイリー・ブルームCEOは、「この1年間で新戦略に対しポジティブな反応をもらってきた」と話す。

 マルチベンダーに対応するヘテロ戦略でストレージ管理の分野で巨大なシェアを築いてきたVeritas Softwareは、ユーティリティコンピューティング戦略を引っさげて、サーバ/アプリケーションといったレイヤの管理技術を手に入れた。まだ、製品同士の統合化という面で課題も残されているが、ユーティリティコンピューティングを実行していく上での下地を整えたかのように見える。

 基調講演から受ける知的で堅実なイメージと違い、インタビューでは柔和な面も見せた同社のゲイリー・ブルームCEOは、「この1年間で新戦略に対しポジティブな反応をもらってきた」と語り、顧客からの支持に一層の自信を深めた様子。VERITAS VISION 2004の会場で、アジアのプレスの合同インタビューに応じた。

ゲイリー・ブルーム氏

CIOの視点に立ってば、ユーティリティコンピューティングを推進していく戦略は当たり前の選択だったと話すブルームCEO


――ユーティリティ戦略を発表してから1年が経過したわけですが、その間、顧客に説明してきて、反応はいかがでしたか?

 エグゼクティブフォーラムに世界中から集まってきているITのリーダーたちと話をすると、私たちのユーティリティコンピューティングの動きに対して、非常にポジティブな反応が返ってきています。

 彼らは会社のコンピューティングの環境をITインフラのコストをできるだけ下げて、それをビジネスアプリケーションに注入していきたいと考えています。その中で、Veritasは望む機能をサポートしていて、ユーティリティ化を進める上での戦略的パートナーとして、非常によく協力してくれているというフィードバックが得られています。

 この評価は収益面にも現れています。Veritasは数四半期続けての成長することができました。当社が単にビジョンを示しているだけでなく、実際の製品として成り立っているために、セールスに反映されきたのです。

――ストレージソフトを中心としたVeritasがサーバやアプリケーションにも進出し、ユーティリティ戦略を打ち出した背景にはどのような判断があったのでしょう?

 CIOの視点に立って戦略を考えました。どの企業のCIOも感じていることは同じで、巨額のIT予算を投入しているにもかかわらず、効率よく運用されていないし、ハードウェアも有効活用されていない、管理者の人件費も無駄にしていると感じています。

 当社のストレージビジネスのソリューションを見てみると、ストレージの有効活用もできるし、稼働率も高まる、必要な管理者の数も減らすこともできます。だったら、同じことをサーバやアプリケーションでもできない理由はないと考えました。ストレージ以外のIT環境の中で、可用性、パフォーマンス、自動化といった特徴をいかしていきたいと考えたのです。

 このことは、ユーティリティ(水道や電気)と非常によく合致しています。蛇口をひねると水が出るのと同じようにパフォーマンスの管理ができ、ITインフラも共有され自動化されたリソースがあれば、わざわざ井戸を掘ったりすることなく、自動的にインフラを活用できるのですから。

 1年半から2年ぐらい前はまだ初期の段階でしたが、「ユーティリティのようなコンピューティングを始めよう」とのメッセージで業界でも先駆けていました。それが、現在になって最良の資産を持って、実行できる段階に入ってきたのです。これが大きな当社の差別化の要素にもなってきます。トレンドに乗るのではなく、先駆けとしてリーダーシップを取れているのもそのためです。

――製品だけでなく、コンサルティングサービス業務も始めるなど社内組織の点でも拡充してますね。

 サービスの領域では、IBM、Micorosoftでコンサルティングサービスを率いた経験を持つマイク・セニックという、新しいコンサルティングサービス担当のシニアバイスプレジデントを採用しました。ほかにも、ユーティリティコンピューティングのコンサルティングプラクティスというものも導入しました。サービスについては、コンサルティングサービスを拡大して、ユーティリティコンピューティングに導いてほしいという明確な要求に応えたものです。

――製品ポートフォリオを整えてきたわけですが、まだ足りない技術はありますか?

 次にどの企業を買収するかということになるのですが、次の段階では、今あるインフラストラクチャからアプリケーションの可用性、パフォーマンス、自動化といった定義の中の製品は埋まった状態なので、外側に拡げていきたいと考えています。

 例えば、ネットワークの管理やセキュリティ管理、アプリケーションサーバの管理をどうするのかといったことがあります。まだITインフラのスタックの中にはいくつかの管理技術があるわけですが、これら技術が顧客に対して劇的にハードウェアのコストを下げ、人件費を節約できるものになれば、私たちにとってキーテクノロジーになってきます。

 ユーティリティコンピューティングのモデルの中に、ネットワーク管理やセキュリティ管理を補完技術として追加していくことはできると思います。

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