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2004/05/10 23:43 更新


オープンな技術を伝える使命を担う、IBMにエバンジェリストが誕生

日本IBMは5月1日付けで、伝道師ことソフトウェア・エバンジェリストを任命した。彼らはIBM製品をセールスするという立場を離れて、オープンなテクノロジーを広く伝え、市場を活性化する任務を担う。

 「IT業界を明るくしてもらう任務を背負う」――日本IBMは5月1日付けで、伝道師ことソフトウェア・エバンジェリストを任命した。彼らはIBM製品をセールスするという立場を離れて、オープンなテクノロジーを広く伝え、市場を活性化する任務を担うことになる。5月10日、東京・渋谷のソフトウェア・コンピテンシー・センター(Software Center of Competency:SWCOC)で9人のエバンジェリストを発表した。

 ソフトウェア事業担当執行役員の三浦浩氏は、「(私たちが)反省しているは、90年代メインフレームで独自の世界を作って一番良いと売ってきたこと。OS2などは失敗例だったと思う。だが90年代半ばからはオープンスタンダードを強化し、競合と一緒になって標準作りに尽力してきた」と話した。その結果、IBMの立場を離れてテクノロジーをメッセージできる人間を作るべきだとの声が高まり、エバンジェリストを任命することになった。

三浦浩氏

「e-ビジネスオンデマンドを推進しているが、柔軟な情報システムにはミドルウェアが重要になる。そこで最も重要なことはオープンということだ」と話す三浦氏


 エバンジェリストは、それぞれ専門分野を持ち、5月1日には9人が任命された。ソフトウェア事業理事の川原均氏は、エバンジェリストの任命基準には「IBM製品にこだわらない志、背景となる技術が先進的でこれから期待されること、そして心根の3つを評価した」と説明。「IBMの製品以上に技術を伝え、IT業界を明るくしてもらいたい」とエバンジェリストの活躍に期待を込める。

 エバンジェリストに就任したのは、オープンテクノロジー/J2EE分野では米持幸寿氏、ソフトウェア開発では渡辺隆氏、開発プロセス/モデリング分野では藤井智弘氏、コラボレーション/ナレッジマネジメント分野では神戸利文氏、コーチング/Webデザインパターン分野では樋口節夫氏、データベースでは菅原香代子氏、エンタープライズJavaテクノロジーでは清水敏正氏、データベース/オートノミック/グリッドでは大沼啓希氏、EA/SOAでは長島哲也氏の9人。

 エバンジェリストには、ベンダーを超えてテクノロジーを伝えるコミュニティ活動や講演、メディアへの寄稿など社外での活躍を多く期待される。川原氏は「この人の意見を定点観測したいという人が出てくれば、今後も増やしていく予定だ」という。

 エバンジェリストのお披露目の場となった渋谷のマークシティのSWCOCは、エバンジェリストが講座を開くなど彼らが活躍する場ともなる。同センター長の斉藤三穂氏は、「昼間忙しいエンジニアのために夜間でも交流できるようにしたり、学生に向けたIT技術塾を企画するなどしたい」と話した。

 同センターの検証施設には、サン・マイクロシステムズ、ヒューレット・パッカード、富士通、NECの主力サーバ機のほか、EMC、日立、富士通、NECのストレージが設置され、これらを使ってIBMミドルウェアをベースとしたアプリケーションの検証などが行える。エバンジェリストと同様、検証施設もオープンをアピールするため、入り口にIBMのロゴを使っていないなど、IBMの志が垣間見られる。

各社の主力サーバ、ストレージがずらりと並ぶ、IBM機はこの後ろの見えない位置に設置されている
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[堀 哲也,ITmedia]

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