特集
2004/05/27 07:38 更新


特集:全1回 サンのオープンソースJava統合開発環境「NetBeans」入門 (8/9)


build.xmlファイルを変更する

 以上で設定が終わったので、次にビルドの準備をする。struts-blank.warファイルには、Antでビルドするためのbuild.xmlが含まれている。NetBeansは、Antを使ったビルドに対応しているので、これを流用してビルドができる。

 ただしStrutsのビルドには、J2EEのServlet関連のクラスファイルが必要なため、これをクラスパスに設定しておかなければならない。Servlet関連のクラスファイルは、JDKに含まれるものの場合には「j2ee.jar」というファイルであるため、それを利用するのもよい。しかし、そうではなくNetBeansに付属のTomcat 5に含まれるservlet-api.jarファイルを利用してもよい。どちらでもよいが、ここでは、Tomcat 5に含まれているservlet-api.jarファイルを利用する方法を解説する。


Tomcat 4では、servlet.jarファイルであったが、Tomcat 5では、servlet-api.jarファイルに変わった。

 方法は幾つかあるが、比較的簡単なのは、次の方法だ。

1. servlet-api.jarファイルをWEB-INF\libディレクトリの下にコピーする

 servlet-api.jarファイルを、マウントしたディレクトリ下の「WEB-INF\lib」ディレクトリ下にコピーする。

 servlet-api.jarファイルは、NetBeansをインストールしたディレクトリの下のTomcat5のライブラリディレクトリにある。たとえば、Windows版の場合には、「C:\Program Files\NetBeans3.6\jakarta-tomcat-5.0.19\common\lib」ディレクトリにあるはずだ。

2. build.xmlファイルを変更する

 build.xmlファイルには、下記の表記がある。


<!-- classpath for Struts 1.1 -->
<path id="compile.classpath">
    <pathelement path ="lib/commons-beanutils.jar"/>
    <pathelement path ="lib/commons-digester.jar"/>
    <pathelement path ="lib/struts.jar"/>
    <pathelement path ="classes"/>
    <pathelement path ="${classpath}"/>
</path>

 この<path>と</path>で囲まれた部分に、次のように、servlets-commons.jarファイルを含める行を追加する。


<!-- classpath for Struts 1.1 -->
<path id="compile.classpath">
    <pathelement path ="lib/servlet-api.jar"/>
    <pathelement path ="lib/commons-beanutils.jar"/>
    <pathelement path ="lib/commons-digester.jar"/>
    <pathelement path ="lib/struts.jar"/>
    <pathelement path ="classes"/>
    <pathelement path ="${classpath}"/>
</path>

ビルドそして配備と実行

 以上で設定が終わったのでビルドする。ビルドするには、build.xmlファイルを右クリックし、「実行」を選択すればよい(画面27)。


ちなみにこの時、「ターゲットを実行」メニューを選択すると、「all」「clean」など、build.xmlで設定されているビルド項目を選ぶこともできる。

fig27.gif

画面27■ビルド


 実行をしてみよう。実行するには、「WEB-INF」を右クリックして「実行」を選ぶ。すると、NetBeansによってTomcat 5が起動し、Webアプリケーションの配備が完了する(画面28)。そして、しばらくするとWebブラウザが起動し、Webアプリケーションが実行される(画面29)。


ソースを変更してビルドし直す場合には、必ず、build.xmlを実行してから、WEB-INFを実行する。WEB-INFだけを実行しても、ソースはビルドされない。


画面29の実行画面において、日本語を入力すると文字化けする。これは日本語のコード変換を考慮していないためである。日本語も正しく表示するには、web-config.xmlファイルでフィルタを設定すればよい。フィルタの設定方法については、「特集:Strutsで作るWebアプリケーション入門」を参考にしてほしい。


実行時エラーが発生すると、Webブラウザ内にエラーメッセージが表示される。しかしTomcat 5では、エラーメッセージの表示が文字化けする。これはTomcat 5の問題であり、NetBeansの問題ではない。

fig28.gif

画面28■配備と実行


fig29a.gif

画面29■実行結果


fig29b.gif

画面29b■実行結果2


 ちなみに実行環境のTomcat 5では、「実行時」と書かれているウィンドウで停止や再起動などの操作ができる(画面30)。また「コンテキストログを表示」を選択すれば、Tomcat 5のログメッセージが出力される。

fig30.gif

画面30■Tomcat 5の操作


 またNetBeansには、HTTPモニタと呼ばれる機能が付いていて、HTTPコネクションの状態や送受信した文字列を参照できる(画面31)。この機能は、デバッグの際に役立つだろう。

fig31.gif

画面31■HTTPモニタ


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