生成AI時代の今こそ重要 メインフレームのモダナイゼーションと3つのアプローチ独自調査から解説

誕生から長い歴史を持つメインフレームは、数多くのミッションクリティカルな業務を支えてきたことから企業のシステムを支える”心臓部”と例えられるが、生成AIが活況化する時代に改めて重要性が再認識され始めている。メインフレームは膨大なデータを蓄積、処理する基盤でもあり、それらをビジネス価値に転換するためにはメインフレームモダナイゼーションが欠かせない。そのための具体的なアプローチにはどのようなものがあるのか。キンドリルのグローバルと日本において、メインフレームビジネスをリードしている2人のキーパーソンに話を聞いた。

PR/ITmedia
» 2024年10月15日 10時00分 公開
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photo (左から)キンドリルホールディングスのペトラ・グーダ氏、キンドリルジャパンの中尾友謙氏

メインフレームの重要性は今後も変わらない

 メインフレームと聞くとレガシーなイメージを持たれるかもしれないが、その影響力は今も健在だ。キンドリルが2024年にグローバルで実施した「メインフレームモダナイゼーション状況調査」によると、調査対象500社のうち89%が「メインフレームは重要であり、今後も使い続ける」と回答した。また、「重要なミッションクリティカルなアプリケーションの56%がメインフレーム上で実行されている」と述べている。

 「メインフレームは現在でも重要であり、今後も存続します。特に日本市場では金融や保険などの重要なシステムの多くが現在もメインフレーム上で動いています」とキンドリルホールディングスのペトラ・グーダ(Petra Goude)氏(コアエンタープライズ&zクラウド グローバル・プラクティス・リーダー)は強調する。

 同調査によると、96%が「一部のワークロードをメインフレームから移行する」と回答し、メインフレームで動いているワークロードの36%を移行しようとしていることも分かった。「企業の中でハイブリッドITが重要な課題になっている」とグーダ氏が指摘するように、メインフレームを中心に据えながらも、クラウドを取り入れた環境を構築する動きが増えているというのだ。

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トレンドとなる生成AI活用とオブザーバビリティー

 メインフレームを抱える企業において、もう1つ課題となっているのはAIの活用である。

 生成AIを含め、ここ数年AIは市場で大きなトレンドであり続けているが、それは決してメインフレームと無関係ではない。なぜならAIにはデータが必要であり、メインフレームは企業における重要なデータを大量に蓄積しているからだ。

 実際に、データを活用したいというニーズはメインフレームのモダナイゼーションを加速させる要因になっている。同調査では86%が「メインフレーム上で、またはメインフレームと共に生成AIツールやアプリケーションを導入、または計画中」と回答した。

 生成AIと共にもう1つトレンドとして上がったのが可観測性(オブザーバビリティー)だ。IT環境のハイブリッド化、複雑化が進むにつれてシステム監視の難易度は上がる。調査では、92%が「ハイブリッド環境の運用監視のために単一のダッシュボードが必要」と回答した。だが、85%はその実現を難しいと感じていることも明らかになっている。

 なお、上述した動向や企業のニーズはグローバルでも日本でも大きな相違はない。だが、グローバルとは異なるトレンドとして、「日本では国産メインフレームベンダーの撤回発表もあったことから『メインフレームをなんとかしなくては』という大きな波が起きています」とキンドリルジャパンの中尾友謙氏(プラクティス事業本部 コアエンタープライズ&zCloud事業部長 理事)は説明する。

メインフレームモダナイゼーションの3つのアプローチ

 メインフレームは引き続き重要であるという認識を踏まえると、メインフレームのモダナイゼーションはどのようなアプローチで挑むべきなのだろうか。

 キンドリルは、ワークロードをメインフレーム上でモダナイゼーションする「Modernize on」、他のプラットフォームとメインフレームを統合可能にする「Integrate with」、メインフレームから一部あるいは完全に移行する「Move off」と3つのアプローチを提唱している。

 「日本市場の特徴としては、これまではメインフレーム上に全てを残すか、完全にメインフレームから移行するかを考えられることが多かった。現在では残すべきものを残すという考えで進める企業も増えています」と中尾氏は話す。メインフレームからの移行に関して業界では製造業が先行し、現在は金融でもモダナイズの動きが活発になっているとのことだ。

 モダイナイズのアプローチを考えるにあたり、企業が着目するべき観点がセキュリティ、コスト、データ活用の3つである。

 1つ目のセキュリティについては、調査対象のうち3分の2(66%)が、メインフレームの提供する最も重要な機能としてセキュリティを挙げており、92%が規制要件への懸念に対する対応をメインフレームモダナイゼーション戦略に入れていた。

 「メインフレームは元々セキュリティが高いプラットフォームですが、Modernize onでさらにセキュリティの強化を進めようというお客さまが多いことを示唆しています」と中尾氏は説明する。

 2つ目のコストについては、メインフレーム上のアプリケーションの使用量が増加しても、ソフトウェアコスト面でより最適化される環境へと変更していく動きがある。

 3つ目のデータ活用のニーズは、中尾氏も「最近特に増えている」と強調する。単純にメインフレーム上のデータをコピーして分析基盤に載せることもできるが、データの「量」と「鮮度」を考えると、メインフレームとクラウド環境をシームレスに統合して使うことが求められているという。

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スキルギャップ問題を生成AIで解決

 メインフレームをモダナイズすることで時代に応じたシステム環境を手にしつつ、セキュリティ強化やデータ活用の促進などさまざまなメリットが得られると期待される。もちろん、取り組みにあたっては課題もある。

 中尾氏は、日本語特有の2バイト文字問題、バッチ処理対象の整理などを挙げる。「例えばバッチ処理の中に、ミッションクリティカルなものとそうでないものが混在している状況があります。それらを仕分けした上で、重要ではないものをMove offするアプローチを取ることが重要になります」

 グーダ氏はグローバル共通の課題として、メインフレームのサイロ化が生む技術的な問題とスキルギャップを付け加えた。

 特にスキルについては、調査によると4分の1以上(28%)が「モダナイゼーションを進めるにあたって適切なスキルがない」と回答した。スキル不足が原因で、77%の組織が外部からの支援を受けているという。グーダ氏は「メインフレームのスキルだけでなく、AI、セキュリティなどのスキルを併せ持つ人材が必要とされています。また、他のシステムとの統合、DevOpsなど他のプラットフォームで使っているツールなどについても知識が求められます」と説明する。

 実は、このような課題を解決する動きとして強力な支援になるのが生成AIだ。グーダ氏は「生成AIを使って、メインフレームモダナイゼーションを加速させるという動きが顕著になっています」と話す。例えば、メインフレームの言語であるCOBOLやPL/Iで書かれた古いコードの内容を生成AIの自然言語で説明してもらったり、コードをJavaやC#に変換したりして開発を効率化するユースケースが増えているという。

豊富な人材による支援体制をもつキンドリル

 このように、メインフレームのモダナイゼーションにチャンスと課題がある中、長年の経験に基づく支援体制を敷いているのがキンドリルである。

 「キンドリルには約7500人のメインフレームの専門家がおり、メインフレームサービスは我々の事業の3分の1を占めています。継続して投資を続けています」とグーダ氏。技術者として入社する全ての社員が入社後にメインフレームの研修を受けており、その後AIなどのスキルを身につけるという。

 「メインフレームは止まってはならないシステムで、キンドリルはその重要性を深く理解しています。目指すのはワークロードに最適なアプローチを取り、リスクの低いモダナイゼーションを支援することです」(グーダ氏)

 近年キンドリルは、既存のメインフレームユーザーの顧客向けには、AIや自動化によってIT運用を最適化する「Kyndryl Bridge」を通じて洞察を得ながら、その企業にとって最適なアプローチを探っていく。「このソリューションはグローバルですでに1300社 のお客さまに利用していただいています」とグーダ氏。新規顧客に対しては、コンサルテーションで既存の環境などの現状を整理してから進めていく。「いずれの方法でも、経験豊富なスタッフが伴走し、構築からその後の保守まで一気通貫でサービスを提供します」

もはや“現状維持”の選択肢はない

 キンドリルによるメインフレームモダナイゼーションの支援事例や活用している技術を紹介しよう。

 まず、Modernize onでメインフレームを使い続ける顧客に対しては、キンドリルのメインフレームクラウド環境として「zCloud」を用意している。「従量課金のマネージドサービスを利用して自社でメインフレームを維持するだけでなく、お客さまのアプリケーション資産を我々の環境上に移していただくこともできます」と中尾氏は説明する。

 Integrate withのアプローチでは、「Microsoft Azure」環境を接続してクラウドにある分析基盤を使い、メインフレーム上のデータを分析するといったプロジェクトも現在進めている。

 Move offのアプローチでは、「Amazon Web Services」(AWS)への移行を行うことが多いという。キンドリルにはAWSが提供するメインフレームアプリケーションの自動リファクタリング「Blu Age」の資格者が多数在籍し、日本でも最高位のレベル3の認定保持者が複数存在している。

 「日本は重要なインフラの多くがメインフレームで動いており、キンドリルにとって重要な市場です。メインフレームを稼働させている全ての企業は、何らかの形でモダナイゼーションをする必要があり、もはや”現状維持”という選択肢はないと言えます」とグーダ氏は強調する。

 日本市場に向けて、最後に中尾氏はこう語る。

 「メインフレームのモダナイゼーションはもはや先進的な企業の取り組みではありません。キンドリルとしてはIBM以外のメインフレームも扱うことができますし、クラウドのスキルと経験も蓄積しています。モダナイゼーションの必要性を感じている企業は、気軽に相談していただきたいと思います。社会を支える重要なインフラであるメインフレームのモダナイゼーションを通じて、日本企業の競争力アップに貢献したいと願っています」

この記事はキンドリルジャパンから提供された原稿を、ITmedia エンタープライズ編集部で一部編集したものです。


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提供:キンドリルジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年11月10日