なぜキンドリルはエンタープライズITの変革に強いのか 独自の立ち位置の強みとはハイブリッドクラウド時代に「ニュートラル」を貫く意義

ハイブリッドクラウド化に向かうエンタープライズITのモダナイズにおいて、キンドリルが独自の立ち位置を獲得しつつある。その鍵を握るのがITベンダーとのアライアンスに対する姿勢と独自のソリューション開発だ。中心人物に話を聞いた。

» 2024年04月17日 10時00分 公開
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 ITベンダーのメインフレーム事業からの相次ぐ撤退やIT人材の不足を背景に、多くの日本企業でレガシーシステムのモダナイズが課題になっている。レガシーシステムの多くはミッションクリティカルな要件を持ち、アプリケーションは長期間の運用と改修によって複雑化していることから移行は容易ではない。だが、この領域をモダナイズしなければ運用や改修コストといった負担を解消できない。

キンドリルジャパン 橋本寛人氏 キンドリルジャパン 橋本寛人氏

 AI(人工知能)活用などによるデジタル領域の競争力強化を視野にデータをどう生かすかの検討が進む中で、モダンなIT環境への移行はIT担当者を悩ませる重大な問題だ。

 今後のエンタープライズITの姿として「将来的には全てがハイブリッドクラウドになると予測しています」と語るのはKyndryl(以下、キンドリル)の日本法人であるキンドリルジャパンの橋本寛人氏(執行役員 クラウドテクノロジーサービス事業部 兼 ストラテジックアライアンス担当)だ。

 クラウドファーストと言われて久しいが、「クラウド=パブリッククラウドの活用ありきではなく、要件によってはオンプレミス環境も残した上でクラウドのメリットをどう生かすかが重要です」と橋本氏は語る。

エンタープライズITモダナイズの焦点

 IBMのマネージドインフラサービス事業をルーツとするキンドリルが、エンタープライズITのハイブリッドクラウド化を見据えたアライアンスによって存在感を高めている。

 同社はメインフレームをはじめとするミッションクリティカルなシステムを構築、運用してきた。特に金融機関などのシビアな要件、複雑なプロセスを持つシステムの構築や運用において多くの実績とノウハウを保有する

 同社が独立からわずか2年半の間にハイパースケーラーやかつての競合ITベンダーと戦略的なアライアンスを結び、高スキル技術者へのグローバルでの大規模投資を武器に、エンタープライズITのモダナイズに注力している。

図1 アライアンスを結ぶITベンダーはクラウド、オンプレミス、国内外を問わず多岐にわたる(出典:キンドリルジャパン提供資料) 図1 アライアンスを結ぶITベンダーはクラウド、オンプレミス、国内外を問わず多岐にわたる(出典:キンドリルジャパン提供資料)

 橋本氏は「パートナー企業とのアライアンスは、当社の事業ポートフォリオ全体を強化する基盤としてなくてはならないもの」と語る。同社は事業技術領域である「クラウド」「セキュリティ」「ネットワーク」「アプリケーション、データ&AI」「デジタルワークプレース」「メインフレーム」の6つを「プラクティス」として定義している。この全ての領域でアライアンス戦略を推進している。

 「製品やサービスの取引をベースにしたパートナーシップと異なり、私たちが推進するアライアンスはお互いに人材やリソースに投資して新たな価値を提供するものです。両社が『覚悟を決めて』取り組むことで、お客さまにもベストなサービスを提供できます。結果として、当社とアライアンスパートナー、お客さまの3者が『Win-Win-Win』になることを目的としています」(橋本氏)

ハイパースケーラー各社とのアライアンスでレガシーシステムとクラウドの知識を結集

 6つの重点領域でアライアンスを拡大している中で、直近で目立つのは主要ハイパースケーラーとのアライアンス強化と独自のソリューション開発だ。キンドリルは既にハイパースケーラー3社から最上位のパートナーに認定されている。各社の技術情報もいち早く提供されることが同社の強みを増大させている。

 2023年の「AWS re:Invent」では、Amazon Web Services(AWS)と生成AI導入支援に関するSCA(Strategic Collaboration Agreement:戦略的協業契約)や、キンドリルのメインフレームモダナイゼーションの技術を結集した「Mainframe Modernization for Customers with AWS」を発表した。単なるサービスの利用ではなく両社の人材やスキル、ナレッジを融合させた「覚悟のある」ソリューションとして注目を集めたことは記憶に新しい。

 Microsoftとも同様のアライアンスを結んでおり、共同ソリューションを開発している。キンドリルが提案するレガシーモダナイゼーションの手法の一つである「Integrate with」に基づき、メインフレームのデータをクラウドと連携させてローコード開発ツール「Microsoft Power Platform」で活用する取り組みがその例だ。Google Cloudとも、メインフレームのクラウド移行をシミュレーションするツールを共同で開発するといった取り組みを続けている。

 同社がハイパースケーラーと組むのは、企業のクラウドシフトを支援するためだけではない。企業がビジネスの基盤としてきたメインフレームやオンプレミスのオープンシステムとクラウドを統合して、全てをモダンなITに再構築するための取り組みだ。

 これに向けてキンドリルは人材育成でも強力な体制を組む。各社と独自のエンジニア教育プログラムを開発し、わずか2年半で各ハイパースケーラーの有資格者を国内だけで数百人から2000人以上に拡大した。人材は今後も拡充する計画だ。

 トップエンジニアの輩出にも力を入れる。

 「一例としてAWSについては2023年、最上位の『アンバサダー』にキンドリルジャパンのエンジニアが選ばれました。キンドリル全体としても初の認定者でした。アンバサダーはAWSの海外カンファレンスで非公開の技術情報を入手できるなどのメリットがあり、当社の技術力を大いにアピールする成果となりました」(橋本氏)

 同社の人材の強みは、エンタープライズITのさまざまな経験を持つ技術者が新たにクラウドのスペシャリストのスキルを獲得している点にある。

 「レガシーシステムの実務経験と高度なクラウド知識を併せ持つ人材が豊富な点が強みです。若い技術者であっても自社のナレッジを基にメインフレームとクラウドの知識を蓄積しています」(橋本氏)

 ミッションクリティカルなシステムの開発・運用でしか得られない貴重なノウハウを持つキンドリルとのアライアンスは、クラウドベンダーにとっても重要な意味を持つ。この関係性は、同社がアライアンスにおいて中立の立場で顧客ファーストの選択を貫くためにも重要な点であり、強みとなっている。

 「どこかに寄り過ぎることなく、お客さまの声に応えて最適なソリューションをさまざまなパートナー企業と一緒に考え、開発することを大前提としています。ベンダーニュートラルのスタンスは一貫しています」(橋本氏)

AI活用への布石、モダンでセキュアな開発・運用体制

 レガシーシステムのモダナイズは、決してIT戦略のゴールではない。モダンなIT環境を基にどうビジネス課題を解決し、価値を生み出すかが重要だ。この点についてもキンドリルはグローバルで手を打っている。

 クラウド各社とのAI関連の協業に精力的な理由はそこにある。AWSとSCAを締結したのは前述の通りだ。

 「SCAの締結もお客さまの課題解決をきっかけとしたものです。生成AIが注目されていますが、ユースケースやノウハウが極めて足りない状況です。当社とAWSは共同で『イノベーションファクトリー』を設立し、グローバルで得た知見を持ち寄ってお客さまと一緒に解決策を探る取り組みを始めています。生成AIの活用は必ずしも海外が先行しているとは限りません。日本企業にも世界をリードするチャンスが十分にあるはずです」(橋本氏)

 AIの活用と切っても切れない関係にあるデータをどう扱うかも重要だ。コストと利便性、セキュリティを考慮してオンプレミスとクラウドを使い分ける必要がある。キンドリルはこの点でもクラウド一辺倒になることなく、ベンダー中立の強みを生かして適材適所でアライアンスを生かした提案ができる点でユニークな立場にあると言える。

 キンドリルの強みであるIT基盤の運用においては、独自のプラットフォーム「Kyndryl Bridge」を生かして自動化とセキュリティを埋め込んだモダンなDevSecOpsを実現する。

図2 ハイブリッドクラウド全体を統合するプラットフォームKyndryl Bridge(出典:キンドリルジャパン提供資料) 図2 ハイブリッドクラウド全体を統合するプラットフォームKyndryl Bridge(出典:キンドリルジャパン提供資料)

 Kyndryl Bridgeは単なるソリューション群ではなく、コンサルティングやアライアンス、ITデリバリーをつなぎ、文字通りブリッジとしてIT基盤全体を統一したメソッドで統合する「プラットフォーム」だ。

 Kyndryl Bridgeのプラットフォームに即して各システムのセキュリティソリューションを統合すればインシデント発生時の情報の一覧性を確保でき、対処の自動化も可能になる。複数のITプラットフォームや複数のシステム、複数のセキュリティソリューションをまたぐインシデントであっても一貫したオペレーションで迅速に対応できる。

 オンプレミスかクラウドか、アプリケーションかハードウェアかを問わず、仮想的に1つのIT基盤として共通のメソッドの下で運用するというKyndryl Bridgeの思想も、同社が推進してきたアライアンス戦略が基になっている。

 強力なアライアンスによってキンドリルの守備範囲は拡大しているが、橋本氏は顧客に「『何でもできる』とは決して言わない」と強調する。

 「私たちには金融や物流といった社会的な信頼が最も重要な領域のシステムに携わってきた経験があります。重要なのはお客さまに対して責任を持つこと。エンタープライズITにおいて信頼性を確保することは何よりも重要です。何ができるか、できないかを明確にした上でベストオブブリードのサービスを提供することにこそ、私たちの価値があるのです」

 キンドリルは国内有数のメインフレーム技術者を抱え2年半という短期間で強力なアライアンス体制に基づいて強固なクラウドエンジニアリング力を併せ持つ組織に生まれ変わった。

 エンタープライズITのモダナイズに必要なレガシーとモダンITのスキルとノウハウを持ち、各ハイパースケーラーやITベンダーと中立の立場でビジネスを展開できる企業はそう多くない。IT戦略の全体像を共に描くパートナーとして、あるいはセカンドオピニオンを求めるパートナーとしてユニークなポジションを獲得しつつあると言える。

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提供:キンドリルジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2024年5月16日

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