ネットワンシステムズは、AIに最適化された次世代ストレージ「VAST Data」を採用し、インテル Gaudi AIアクセラレーターとの連携検証を開始した。検証で見えたVAST Dataの真価について、プロジェクトを推進したキーパーソンたちに聞いた。
ネットワンシステムズが検証基盤に採用した「VAST Data」と「インテル Gaudi AIアクセラレーター」。前編の検証結果に続き、後編ではインテルの高藤氏とノックスの若井氏が両製品の特長と日本市場におけるAIインフラの未来像を語る。
※以下、敬称略。
若井 インテル Gaudi AIアクセラレーターの特徴を教えてください。
高藤 完全プログラマブルなテンサー・プロセッシング・コア(TPC)と行列演算エンジン(MME)のアーキテクチャを持ち、HBMメモリを搭載したVLIW SIMDベクトル演算プロセッサです。GPUに代わるデバイスとしてAIの分野で注目されています。
同製品は効率的な行列演算とデータ転送に特化しています。科学計算とは異なり、AIは計算精度よりも、行列演算の速度と量が重視されます。そのため本製品は、AIであまり使われない倍精度浮動小数点演算のようなデータ型を廃し、BF16(16bit)やFP8(8bit)といった計算、通信コストを抑えたデータ型に特化しました。この「AI特化」の割り切りが圧倒的な効率を生み出しています。
今回ネットワンシステムズさんには、コストとパフォーマンスのバランスに優れた第2世代の製品「インテル Gaudi 2 AIアクセラレーター」を評価していただきました。よりパフォーマンスの高い「インテル Gaudi 3 AIアクセラレーター」もリリースされており、こちらはDeepSeek-R1モデルもシングルノードで実行できるメモリ容量を持っています。
若井 インテル Gaudi AIアクセラレーターを利用するメリットを教えてください。
高藤 AIの主に行列演算とデータ転送に特化しており、インテル Gaudi 2 AIアクセラレーターは優れた演算性能を持ち、費用対効果が高い製品です。大規模言語モデルを運用する際、GPUでトレーニングしたモデルは、そのままインテル Gaudi 2 AIアクセラレーターで動かせます。モデルによっては1つ上の世代の演算能力を持つ「NVIDIA H100」に近いパフォーマンスを発揮でき、コストパフォーマンスに優れます。
インテル Gaudi 2 AIアクセラレーターは学習にも利用でき、同規模のGPUクラスタを構築する場合と比較して導入コストが低く、大規模なクラスタを構築してもコストを抑えられます。ネットワンシステムズさんには、バージョンごとにパフォーマンスが高くなっていることを確認していただきました。参考に弊社が測定した最新のパフォーマンスデータもこちらからご確認いただけます。
他社GPUとの互換性を心配する声も聞かれますが、vLLMのような一般的なフレームワークを活用することで、既にお持ちの学習済みモデルをそのままインテル Gaudi 2 AIアクセラレーターで運用できます。他のGPUからスムーズに移行でき、適切な価格で導入できるため、効率的に投資を回収できます。
若井 活用例や今回の検証が市場にもたらすインパクトについて教えてください。
高藤 インテル Gaudi AIアクセラレーター製品は1024台、8192基のAIアクセラレーターのサーバクラスタ構成が組めるように想定されています。ネットワンシステムズさんには、インテル Gaudi 2 AIアクセラレーターのコストパフォーマンスや、充実した通信機能を評価していただきました。
インテル Gaudi 2 AIアクセラレーターのメリットの一つは、イーサネットベースのサーバノード構成を前提としており、NICを介さずにアクセラレーターとイーサネットスイッチを直接接続できる点です。AIクラスタは一般的なクラウド環境よりもスーパーコンピュータ(HPC)に近い構成が必要で、GPUの演算結果を別のサーバノードへ直送するために、400GbEや800GbEといった非常に大きな帯域が求められます。
本製品は24ポートのRoCEv2対応100GbEネットワーク機能を内蔵しているため、機器の信頼性も確保できます。Ethernetベースでスイッチを複数のベンダーから選択できる点も、システムコストを下げる要素の一つです。
若井 今後の国内におけるAI市場に対する取り組みや展望などを教えてください。
高藤 現在の生成AIブームはまだ序章に過ぎません。かつてのインターネットがそうであったように、AIも一部の巨大企業だけのものから誰もが適正価格で使えるものへと「民主化」する必要があります。
インテルはこれまでオープンプラットフォームの発展に尽力してきました。AI技術を広くオープン化することで、さまざまなプレイヤーが生成AIを活用できるようにし、すべての技術者が簡単にAIにアクセスできるデバイス、環境、社会を整えていくことが重要です。
インテルは「AI Everywhere」という戦略を掲げ、インテル Gaudi AIアクセラレーター製品だけでなく「インテル アドバンスト・マトリクス・エクステンション」(インテルAMX)対応の「インテル Xeon 6 プロセッサー」や「インテル Core Ultraプロセッサー・ファミリー」を搭載したAI PCなど、さまざまな形でAIをより身近にする取り組みを進めています。これらの技術は、企業がAIを活用して新たな価値を創造する手助けをし、国内におけるAI市場の活性化につながると信じています。インテルは、AIの民主化を進め、技術革新を支える重要な役割を果たしていきます。
若井 ノックスにとってAI市場への注力は大命題であり、特にVAST Dataは今後のエンタープライズAIで顕在化する課題を解決できる数少ないプラットフォーマーです。
その中でネットワンシステムズさんがVAST DataをAIの検証基盤として採用したことに大変感銘を受けており、今後のビジネス展開における強力なパートナーシップを築けるのではないかと期待しています。
当社は2019年のVAST Dataさんとの代理店契約以来、提案から販売、構築、保守サポートを一貫して提供する体制を備えています。2024年度より大規模基盤の構築を円滑に実現するためにキッティングセンターを用意し、2026年2月にはキッティングとAI利用やデータ利活用を含めた検証が可能なラボをオープン予定です。
今回のインテル Gaudi AIアクセラレーターとVAST Dataの連携検証は、今後のAIインフラにおけるスタンダードモデルの一つになり得ると考えています。
VAST Dataはアーキテクチャ上AIプラットフォームに最適なだけでなく、ストレージとしての機能も充実しています。類似性データ削減技術は、従来のデータ圧縮や重複排除では効果が限定的だったデータや、すでに削減済みのデータに対しても適用できます。これにより、容量効率性を最適化し、物理的な省スペースや省電力にも貢献します。
本製品は、従来は難しかった10年間の一括保守サポートを提供可能で、データの長期保管やシステムの長期利用においてもシステムリプレースを伴わずに運用できます。これからの時代、データの資産価値の高まりに伴い、組織がシステムに投じるコストも増えると予想されます。VAST Dataならデータの価値を高めながら、投資を抑制した効率的なインフラの整備が可能です。
ノックスは、目まぐるしく進化するAIインフラ市場の最前線を走り続け、お客さまに高品質なサポートを提供できるよう今後も多くのナレッジを蓄積していきます。
(左から)若井氏、秋本和佐氏(ネットワンシステムズ 東日本第2事業本部 サービスプロバイダー第3技術部 第4チーム マネージャー)、上野洋太郎氏(ネットワンシステムズ 東日本第2事業部 サービスプロバイダー第3技術部 第4チーム)、岡田陽平氏(ネットワンシステムズ 東日本第2事業部 サービスプロバイダー第3技術部 第2チーム)、高藤氏、藤井洋介氏(VAST Data 日本 カントリーマネージャー)※本稿は、ノックスからの寄稿記事を再構成したものです。
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