文書管理をカスタマイズ――「コンテンツタイプ」設定指南:エンタープライズコンテンツ管理
Microsoft Office SharePoint Server 2007では、効率的なドキュメント管理を実現するため、数々の機能が搭載されている。その代表的なものが「コンテンツタイプ」だ。
このコンテンツは、オンライン・ムック「コンプライアンス時代のマストアイテム!エンタープライズコンテンツ管理」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。
コンテンツタイプとは文書テンプレート、プロパティ、ワークフロー、セキュリティポリシーなどをパッケージ化したものである。Microsoft Office SharePoint Server 2007(SharePoint 2007)では、このコンテンツタイプ機能を利用し、文書の種類ごとに、文書テンプレート、プロパティ、承認や校閲のワークフロー、セキュリティポリシーを単一の文書属性(コンテンツタイプ)として管理することができる。ドキュメントごとにコンテンツタイプを設定できるため、同じドキュメントライブラリ内に複数の異なる種類のドキュメントを格納し管理することが可能となる。
コンテンツタイプの作成
コンテンツタイプはゼロから作成するだけでなく、元となる既存のコンテンツタイプを親として指定して、そこから拡張する形でも作成できる。複数のドキュメントの種類があり、いくつかのプロパティが共通のものである場合には、ベースのコンテンツタイプを作成し、それを継承して子のコンテンツタイプを作成可能となる。既定で提供されているものもあるが、ここではカスタムのコンテンツタイプを作成、利用する方法を解説する。
コンテンツタイプへの関連付け
サイトの設定ページのコンテンツタイプギャラリーを開くと既存のコンテンツタイプの参照や新規作成ができる。今回は例として"出張申請"というコンテンツタイプを作成する。
コンテンツタイプを作成しただけでは、プロパティや文書テンプレートなどが設定されていない空の状態なので、必要な情報をコンテンツタイプに関連付けていく。
コンテンツタイプに関連付ける情報には
- プロパティ(実際の設定では"サイト列")
- 文書テンプレート
- ワークフロー
- 情報管理ポリシー
などがある。これらを必要に応じて関連付けていく。
ドキュメントライブラリの設定
次にドキュメントライブラリとコンテンツタイプを関連付けていく。ドキュメントライブラリでは既定でコンテンツタイプの管理が無効になっているので、ドキュメントライブラリの詳細設定画面でコンテンツタイプの管理を許可するを「はい」に設定する必要がある。
コンテンツタイプの管理を有効にすると、ドキュメントライブラリの設定画面に「コンテンツタイプ」のセクションが追加される。また、コンテンツタイプをドキュメントライブラリに関連付けるには、ドキュメントライブラリ設定画面のコンテンツタイプセクションで、コンテンツタイプの追加を実行する。
ドキュメントに対するプロパティの設定
プロパティは2種類の方法で参照/編集できる。ブラウザからサイトにアクセスをしている場合は、ドキュメントリストのアイテムの操作メニューから「プロパティの表示/選択」を選択する。Office Professional 2007以上のエディションを利用している場合は、Word、Excel、PowerPointといった使いなれたOfficeクライアントからプロパティの参照および編集ができる。
WordなどのOfficeクライアントのプロパティやワークフローの状態などが表示されているところをドキュメント情報パネルという。ドキュメント情報パネルで設定したプロパティはドキュメント内の値と連携させることもできる。データシートビューで値を変更した場合も、ドキュメントに値の変更が反映される。
SharePoint 2007ではこのように、クライアントアプリケーションと連携したドキュメント管理が可能となっている。
ドキュメント情報パネルのカスタマイズ
ドキュメント情報パネルはInfoPath 2007を使用してカスタマイズできる。コンテンツタイプの設定画面の[ドキュメント情報パネルの設定]を開くと、下の画面が表示される。
ここで、「新しいカスタムテンプレートの作成」をクリックするとInfoPath 2007が起動し、標準のドキュメント情報パネルがデザイン画面に表示される。
カスタマイズは通常のInfoPat のデザインと同じ方法で行い、デザインが完了したら「発行」を実行する。このとき、下記画面にあるように「ドキュメント情報パネルとして」発行することで関連付いているコンテンツタイプのドキュメント情報パネルが変更される。
旧バージョンでは、ドキュメントライブラリごとにメタデータを持たせることが可能だった。しかし、ドキュメントライブラリの中でメタデータの編集を行う必要があり、またドキュメントごとにメタデータや動作を定義することができないものであった。
SharePoint 2007ではコンテンツタイプを使用することで、ドキュメントライブラリ単位はもちろんのこと、ドキュメントの種類でメタデータや動作を定義できる。複数のコンテンツタイプをサポートするドキュメントライブラリを構成できるので、同じドキュメントライブラリ内に異なる種類のドキュメントを並べて格納し、かつドキュメントの種類ごとにワークフローや情報管理ポリシーを定義するという、より柔軟なドキュメント管理を実現できる。
このコンテンツはアイティセレクト2006年12月号増刊に掲載された記事を再編集したものです。
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