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SOA対応の約束を果たすSAP、「企業の枠を超えた連携が真の競争優位をもたらす」とカガーマンCEOSAPPHIRE '07 Atlanta Report(2/2 ページ)

SAPPHIRE '07 AtlantaでカガーマンCEOがキーノートに登場、「Business Network Transformation」と、それを支える「エンタープライズSOA」こそが、企業に競争上の優位をもたらすと話した。

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約束をきちん果たすSAP、この業界では新鮮?

 カガーマン氏は3年前のSAPPHIRE '04 New Orleansにおいて、「2007年にはSAP Business SuiteをすべてエンタープライズSOAに対応させる」と約束している。開発プロジェクトの遅れが日常茶飯事のこの業界においては、同社がきちんと約束を果たすことは、むしろ新鮮に映る。

 ひと足先にNetWeaverを核として「Business Process Platform」(BPP:事業の基盤となるソフトウェア)を実現しているSAP ERP 2005では、アップグレードは機能強化パッケージとして2012年まで提供され、実装するかどうかはユーザーの選択に任される。これによって、ハッソー・プラットナー会長が前日のキーノートで指摘したとおり、「イノベーション」と「コアの安定化」という、本来であれば両方を同時に満たすことの難しい顧客の要求にも応えることができる。

 キーノートでカガーマン氏は、このモデルがすべてのmySAP Business Suiteにも拡大され、2008年から機能強化パッケージが提供開始されることを明らかにした。

 「すべてのアプリケーションでコアのビジネスプロセスには影響を与えることなく、ローリスクでイノベーションを加速することができる」

本格的なSaas時代を睨んだサービスも展開へ

 カガーマン氏は、成長の著しいSME(中堅・中小企業)市場についても言及し、エンタープライズSOAに対応した「A1」と「A1S」(どちらもコードネーム)を開発していることを明らかにした。

 A1は中堅企業向けの短期導入ソリューションであるSAP All-in-Oneに相当するもので、必要に応じて構成変更が可能となる。一方、100人未満の中小企業をターゲットとするのが、A1Sだ。カガーマン氏は、前者を「Enterprise SOA by Evolution」(漸進的なeSOA)、後者を「Enterprise SOA by Design」(計画的なeSOA)と呼んだ。

 A1Sの「S」は「サービス」を意味しているとみられ、包括的なエンドツーエンドのビジネススイートの機能がオンデマンド型のサービスとして提供されるという。

 ただし、このA1Sは当初こそ、中小企業をターゲットとするものの、2009年以降はサービスのインタフェースを公開し、SAP ERPをはじめとするビジネススイートを導入している大企業がこれをサービスとして活用できるようにする。本格的なSaaS時代の到来を睨んだ、ならし運転とみることもできるだろう。

 ASUG(米国SAPユーザーズグループ)の調査によれば、75%の顧客が2008年半ばまでにエンタープライズSOA対応のSAP ERP 2005にアップグレードするつもりだと回答している。また、NetWeaverの導入も1万3000社を超え、53%を超える顧客が2010年までにはNetWeaverが戦略的プラットフォームになるとみている。


2009年以降はSAP ERPなどを導入している大企業もオンデマンド型のサービスを呼び出して活用できるようにする
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