“企業の品格”が選ばれる時代に:Weekly Access Top10
過去に花形職種として扱われたキャリア官僚の志望者数が年々減少している――人々の働き方が変わりつつある今、企業は社会の潮流や従業員の意志を理解して、環境を整備する必要がある。
Weekly Access Top10
2007年12月01日〜2007年12月07日
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今週の8位には、HTMLコンテンツを抜き出してマッシュアップをする「スクレイピング」を扱った企画記事が今月から始まった。また環境配慮型ITの特集もスタートしている。来週からはさらに新しい企画が走り出すので、チェックしてほしい。
さて、1996年度の4万5254が最大で2006年度は4割減の2万6268――この数字が何を示すか分かるだろうか。ほかのメディアでも取り上げられているが、これは人事院発表の年次報告書(国家公務員白書)が示す国家公務員T種の志望者数だ。2007年度は2万2435人とさらに下がる。花形職種だった「キャリア官僚」は、もはや過去の話になりつつある。
国家公務員は“9時5時”の仕事といわれる。これは、午前9時から翌朝5時までの20時間勤務することを指す。だが評価や給与は年功序列に基づき、個人の成果や力量はほとんど加味されない。定年まで勤めて退職金を受け取ることで、これまでの仕事の総量と生涯賃金のバランスが取れる仕組みだ。
経営コンサルティング企業リンクアンドモチベーションの小笹芳央氏は自著『会社の品格』で、企業の処遇やルールは社員へのメッセージであると述べている。企業は「長く勤めたら後から支払う。途中で辞めるな」ではなく、「従業員を制度で縛らず、多様性を認めて辞めやすい会社に」というメッセージを発する方向に向かうという。さらに企業の雇用形態は、多様な働き方を認め合う相互選択に移行している、と同氏はみる。
就職活動中の学生と話をすると、“自己の成長”という観点で企業を選び、転職をキャリアアップとして考えている人が多いことに驚かされる。行く末の分からない企業に“所属”するのでなく、働き方に合った企業を選び、成果に見合った報酬を得る――若い世代はごく普通にこう考えている。
少し前に、日本HPが在宅勤務を認める制度を全社員に導入するという記事が読者の関心を集めた。社内に無料のレストランやジム、クリーニング、病院などを持つGoogleは社員が仕事に没頭できる環境を作っている企業として有名だ。これらの企業の取り組みは、前述の「相互選択」を体現した事例として興味深い。
これからの企業経営は、従業員の力を引き出し企業価値を最大限に引き出すための環境整備が不可欠だ。この例として、フリーアドレス制やユニファイドコミュニケーション機器の導入がある。コスト削減という面が話題になることも多いが、企業と従業員がお互いを選び合うための新たな手段となりうる。企業は、従業員がこのような“企業の品格”に嗅覚を研ぎ澄ませていることを忘れてはいけない。
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