変更管理で企業の「心筋梗塞」を防ぐ
体の不調を感じる前に健康管理を徹底することは人だけでなく企業においても必要だ。ITインフラの「心筋梗塞」を防ぐために、あらゆる変更を管理することが重要になりつつある。
現在大手企業を中心に内部統制対策が進んでいる。ビジネスプロセスを文書化する製品やサービスが数多くリリースされる中、ITインフラ全体から変更部分を検知する製品を提供しているのはトリップワイヤ・ジャパンだ。杉山富治郎代表取締役社長と米Tripwireのマーク・ゲイドスマーケティング担当副社長に変更管理について聞いた。
ITmedia 変更管理の役割を教えてください。
杉山 変更管理とはITインフラに生じるすべての変更を管理することです。予定外の変更を含めたあらゆる変更を検知するため、障害の原因をいち早く突き止めることができます。運用管理製品のJP1やSystemwalkerなどの稼働状況の実績も証明できます。ITインフラが正常に稼働していることを証明することは、ビジネスプロセスの確かさを示すことと同じです。文書化の次に必要な対策として、2008年後半にニーズのピークが来ると考えています。
ITmedia 変更管理の考え方は日本に浸透していますか?
杉山 世界と比べて非常に遅れています。日本企業のITサービス部門では役割分担が不明確で、1人で複数の仕事を担当することもよくあります。中でも変更管理は、「あの人に聞けば分かる」といったその場しのぎの対策にとどまっている企業が多いです。
ゲイドス ヨーロッパにおいて、ポリシーに反した企業がニュースで大々的に取り上げられ、その後変更管理のニーズが高まりました。日本企業に変更管理を浸透させるには、ほかの企業での成功例といった「お墨付き」が必要となるでしょう。J-SOX法の適用に伴い、ポリシーの順守を外部に証明したいと考える企業は多いので、その点を訴求していきます。
ITmedia 運用管理の改善は部分最適にとどまることが多いです。全体最適を図る変更管理は理解されにくいのでは?
ゲイドス 例えば健康管理について考えてみてください。人は健康を保つために運動をするのであり、体に不調を感じてから運動をしても仕方ありません。企業も障害が生じてから対策を講じるのでは遅く、障害の発生を未然に防ぐ必要があります。そのためにITインフラ全体を見ることが必要となるのです。
全日空の国内線システムの障害が2007年に起こりましたが、その原因の1つは人によるものでした。人為的なミスを完璧に防ぐことは不可能です。企業が心筋梗塞にならないようにあらゆる変更を監視する必要があると伝えていきたいです。
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