「だいち」、EMCのストレージで2倍以上のデータ処理性能を実現:運用管理面も改善
JAXAがEMCのストレージを導入した。陸域観測技術衛星「だいち」が集めた観測データを従来の2倍以上で処理できるようになった。
EMCジャパンは6月17日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)に、同社のストレージシステムを導入したと発表した。
自然災害や地球環境問題に対応するシステム構築を手掛けるJAXA EORCは、陸域観測技術衛星「だいち」を使って地球観測のデータを集めている。EORCでは、観測データを処理・保存するシステムとして、SATAディスク搭載のLinuxサーバをファイルサーバとして利用してきた。
だいちが収集するデータ量は1日当たり1テラバイト。これを国土地理院などの公的機関や海外の研究者が活用するため、データを高速で処理・保存し、24時間365日安定稼働するシステムの構築が必要となっていた。
JAXAが採用したのはミッドレンジストレージ「EMC CLARiX CX3-80」とハイエンド向けネットワーク接続型ストレージ「EMC Celerra NSX」。CLARiX CX3-80は、ファイバチャネル接続とSATA接続のディスクを搭載しており、データの解析や保存といった用途ごとにディスクを使い分けることで、高速処理ができる。Celerra NSXはクラスタ構成で冗長化されており、2系統のファイバチャネルスイッチを持つことから、システム全体の信頼性と可用性を高められる。
2製品を用いて構築した新システムでは、観測データの処理性能がこれまでの2倍以上となった。稼働している18台のファイルサーバを1台のコンソールで管理できるなど、運用管理面も改善された。ファイルサーバやディスクに障害が起こっても継続的に利用できるほか、オンラインによる24時間の保守にも対応した。
JAXAは今後、ストレージの容量拡張や省電力を見据えたシステムの構築を検討していくとしている。
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