7銀行が共同利用の基幹システムに限界、改革に着手:八十二銀行がリード
八十二銀行が主導で、7つの銀行が基幹システムを共同利用する「じゅうだん会」では、現在SOAやESBを活用してシステムの再構築に着手している。
八十二銀行は、長野県長野市を中心に全国で55店舗を展開している。同銀行は、山形銀行、関東つくば銀行、武蔵野銀行、阿波銀行、宮崎銀行、琉球銀行とともに「じゅうだん会」を結成し、基幹系システムを共同利用している。現行システムが抱える課題を解消するため同銀行では、日本IBMの「WebSphere ESB」と「WebSphere Process Server」を導入し、システムを現在再構築している。
じゅうだん会では、預金、為替、証券などを管理する勘定系の大型サーバと、顧客情報、人事情報などを管理する情報系の大型サーバを共通利用している。銀行内の営業支援システムや電子帳票などはそれぞれに分散したサーバで管理しており、分散サーバからPC向けのネットワークを介して、行員はポータルサイトから共通認証を経て利用する仕組みだ。
2002年より共同でシステムを運用してきたが、年月が経つにつれて課題が浮き彫りになってきたという。組織体制や帳票の出力方法の違い、共通化できない業務手順への対応のため、カスタマイズの割合が増加してきた。また、共通化していない分散システムでは、インタフェースの相違や基幹システムにより保有しているデータとサブシステムで扱うデータに違いがあるといった問題が起きている。共通利用でない分散システムの割合も増え、共同化に未対応のシステムが増えていたことも課題であった。
これらの課題に対応するため八十二銀行では、共同システムと分散システムのアーキテクチャの再整理をすることにした。共通利用している基幹システムと、増加傾向にある分散系システムのカスタマイズを抑制して解消すること、共同化していない領域を縮小すること、分散系システムのサーバを統合することなどを目的とし、システム刷新に取り組んでいる。
既存の基幹システムは今後も継続利用し、基幹システムと分散系システムをSOA(サービス指向アーキテクチャ)やESB(エンタープライズサービスバス)といったアーキテクチャを介して連携させる。変化に対応でき柔軟に接続可能な統合基盤を構築していく。
分散システムは中型や小型サーバにそれぞれ集約し、SOAやESBを介して基幹システムとつなぐ。システムの安定稼働やセキュリティの向上を目指すという。現在は、既存システムを活用したチャネル統合とESBの構築によってシステムの共通利用の範囲の拡大に着手している。
これらのチャネルやシステム同士の統合にSOAを活用するメリットは、システム全体を可視化し、ボトルネックの把握に役立つことだという。基幹システムとの連携基盤を構築することで、既存の開発資産を有効活用し、開発期間を短縮できるメリットもある。八十二銀行の佐藤宏昭システム部副部長は「今後は、分散系システムのサーバを仮想化技術で統合し、障害対策のレベルを高めたい」と今後の展望を語った。
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