情報を活用しない意思決定ではダメ――CEOへの提言:IBM Information on Demand 2008 Report
「IBM Information on Demand 2008」に登場した、米IBMのソフトウェアグループでジェネラルマネジャーを務めるロバート・レブランク氏は、「CEOは情報から価値を引き出すことに注力すべきだ」と呼びかける。
ネバダ州のラスベガスで開催中の「IBM Information on Demand 2008」。米国時間10月27日の基調講演では、米IBMのソフトウェアグループでジェネラルマネジャーを務めるロバート・レブランク氏が、経営に関するCEOへの調査結果を基に、同社の情報活用戦略「Information on Demand(IOD)」の重要性を説いた。
「世界のCEOの3分の2がビジネスモデルを変えなければならないと思っている」「22%が新たな顧客獲得を目指し、3年の間に投資を増やすとしている」「85%がグローバル規模で投資を増やそうとしている」――レブランク氏によると、企業のこうした動きが世界規模で起こっているという。
そうした中、同氏は「手元にある情報がきちんと活用されているのか」という疑問を投げかける。経営判断の基となるのは企業内に散在するデータだが、それを悪い状態で保存していると、例え高額なビジネスインテリジェンスを活用して分析を試みても、悪い戦略しか立てられない。「データを活用できず、悪い意志決定をしてしまう」(同氏)ことが、企業の成長を阻んでいる。
そこで有効になるのがIODの概念だという。アプリケーションなどと結びついた情報を解放し、ビジネスにとって最適な意志決定を行うことが必要と述べる。「IBMはデータを有効に使ってもらうことで意志決定の手助けをしてきた。ビジネスを成功に導く情報は何かを考えることが重要だ」(レブランク氏)
「CEOに“われわれのIODは何ですか”と聞いてみてください」とレブランク氏。今後は医療や製薬、ヘルスケア業界など、さまざまな産業に対応できるIOD関連の製品やサービスを横展開していくという。
レブランク氏の後を継いで登壇したのは、イノベーション研究などで有名な作家のトーマス・ダベンポート氏。同氏も開口一番「一番大きな情報の役割は、決定ができることだ」と切り出し、情報活用に言及した。
ダベンポート氏は、情報をどのように使って意志決定をしたのかを世界30の企業に聞いた。その結果「どのようにして意志決定をしたか把握できておらず、情報自体があまり使われていない」状況があった。利便性を求めて情報管理ツールを導入したものの、それを使いこなせていない実態が浮き彫りになった。
では情報をどのように活用すればいいのか。ダベンポート氏は「自動化したシステムの中から情報を取りだし、継続的に見直すことが必要になる」と説明する。「人間はさまざまな情報から意志決定を下すプロセスを踏む。それと同じようにITを活用した業務プロセスにはワークフローやルールが存在する。データウェアハウスやビジネスインテリジェンスから企業が必要とする情報をうまく抽出することが重要」と述べ、その一手となるのがIODだ――と強調した。
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