“データ”の“ベース”を見据えるIBM(3/3 ページ)
IBMソフトウェア部門のスティーブ・ミルズ上級副社長は、IBMのインフォメーション・オンデマンド戦略、クラウドコンピューティング、SaaS、データを保存場所に置いたままでのデータ分析などについて語った。
IBMの情報管理戦略
―― 技術的な観点から見て、IBMは今後どんな課題に取り組むのですか。
ミルズ 市場の関心を喚起するために、やるべきことはたくさんあります。最初の話に戻りますが、情報管理に関していえば、とりわけエキサイティングで興味深い分野が、即座に分析を行うリアルタイムシステムに関するものです。これは、文字通り移動中のデータを収集するというものです。
最も分かりやすい例が金融市場です。そこでは膨大な量のデータが行き来しています。プライマリー市場とセカンダリー市場、そして米国外の市場などさまざまな市場において大量のマーケットデータが存在し、これらのデータは文字通り1秒ごとに、あるいは数分の1秒ごとに変化しています。
今日、これらすべてのデータを同時に収集する技術が存在します。その一部を収集するだけでなく、文字通りすべての市場データを共通のパイプに通し、即座に分析することが可能なのです。
この技術は既に存在し、われわれのポートフォリオに組み込まれています。われわれはいつも、このことを金融サービス企業各社に話しています。すなわち、すべての市場データをまとめて収集し、われわれの分析ツールとデータ管理技術をそれに適用することができるということです。データの動きを止めることなく、即座にデータを分析することが可能であり、これにより個々のデータの関係のパターンをよりよく理解できることを彼らに示しています。
高いパフォーマンス、低い遅延、高度な透明性が求められる今日の金融市場では、データをリアルタイムで分析してパターンを把握し、決断を下す能力に優れた企業の方が、そうでない企業よりも利益獲得のチャンスを見つける可能性が高いのです。
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