阪急阪神百貨店、情報提供基盤を稼働 夜間処理が1日から数秒に:百貨店業界の成長エンジンに
エイチ・ツー・オーリテイリング傘下の阪急阪神百貨店は、売り上げや仕入れ、商品、顧客情報を管理し、戦略の立案に活用できる情報提供基盤を11月に稼働させた。経営者から社員までが使えるシステムに仕上がった。
小売業を展開するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2Oリテイリング)は、同社の情報提供基盤を刷新し、傘下の阪急阪神百貨店で11月に稼働を開始した。パッケージ製品を提供した日本オラクルとシステム構築を支援したNTTデータが11月26日に発表した。
H2Oリテイリングでは、営業/商品/顧客情報ごとに個別のシステムを持ち、紙の帳票やPDFのデータによる情報共有をしていた。膨大な情報を活用しきれていなかったほか、情報の加工や分析に多くの時間を要していた。グループ内に散在する情報を集め、業務プロセスにデータを活用するために、情報提供基盤を刷新した。
新システムでは、POS(販売時点管理)による売り上げや仕入れ、商品、顧客情報などを統合し、経営層や社内各部署の社員が統一したデータを参照できるようになった。
売り上げや利益、商品・顧客情報をリアルタイムに分析することも可能になった。従来のシステムではクロス集計表などを使った複雑な分析をしていたため、夜間処理に1日を要していた。新システムでは処理の時間を数秒から30秒以内に短縮できる。取り扱いができる分析データは約5倍になった。
NTTデータが開発したモデリング手法を用いて、データを体系的に整理し、データベースを構造化した。市場の変化に対応し、社内の各部署が必要とするデータを自由に分析できるようになったという。
システムの導入にあたり、NTTデータはH2Oリテイリングが抱える業務の課題を整理し、システムの設計と開発を担当。数十種類の帳票を棚卸しし、利用者の業務にあわせて新しいシステムの画面や業務フローを設計した。日本オラクルは情報活用のコンサルティング・サービス「Oracle Business Intelligence Express Service」を提供した。
新システムには、日本オラクルのビジネスインテリジェンス製品「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition Plus」、データベース製品「Oracle Database Enterprise Edition」、および管理ツール「Oracle Enterprise Manager」を採用している。
今後は、新システムに情報を集め、計数情報や顧客分析などの機能を拡充していく見通しだ。
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