富士通が赤字に転落 通期で200億円の損失:LSI事業の再編も発表
富士通の通期予想は200億円の最終赤字になりそうだ。円高による影響や、市場の競争激化による販売不振などが響く。
富士通は1月30日、2009年3月期の連結業績予想を下方修正し、200億円の最終赤字になりそうだと発表した。
通期の業績は、売上高が前回の予想から3500億円減の4兆7000億円、営業利益が同1000億円減の500億円、経常利益が同1200億円減のゼロ、純利益は同800億円減の200億円の赤字になる見通し。
売上高の減少は、PCや携帯電話、HDDなどの市況が悪化し競争が激化したこと、2008年10〜12月期(第3四半期:3Q)以降も引き続き円高が進行したことなどによる。純利益の損失には、株式の評価損や設備関連費用による約250億円の特別損失などが影響した。
3Qの打撃が響く
同日に発表した3Qの連結決算は、407億円の赤字だった。前年同期に比べて462億円の悪化となった。売上高は前年同期比18.6%減の1兆538億円、営業利益は251億円の赤字(同718億円の悪化)、経常利益は459億円の赤字(同897億円の悪化)となった。
主力のテクノロジーソリューション分野におけるシステムインテグレーション事業などを中心にサービス部門は伸張したものの、ロジックLSI(大規模集積回路)や電子部品の売り上げの低迷、携帯電話の買い替えサイクルの長期化、HDDやPCの売り上げの伸び悩みなどが減収を拡大させた。
サービス部門とシステムプラットフォーム部門からなるテクノロジーソリューション分野の売上高は、前年同期比10.5%減の6851億円。内訳は、システムインテグレーション事業やインフラサービスを含むサービス部門が同10.6%減の5448億円、システム/ネットワークプロダクトのシステムプラットフォーム部門が同10.1%減の1402億円だった。
システムインテグレーション事業やサーバの売り上げが国内では堅調だったものの、景気悪化の影響を受け、北米を中心にUNIXサーバ「SPARC Enterprise」が不振に陥ったことなどが響き、同分野の利益を押し下げた。
LSI事業の再編が加速
「製品の売れ筋は携帯電話のカメラといった画像系やセキュリティ関連の部品。中国市場などで伸ばしたいが、中国が求める品質に対して、設計のリソースを割けていない。成長には1年以上掛かる」と話す加藤和彦CFO
富士通は同日、LSI事業の前工程製造体制を見直すと発表した。具体的には、6インチのシリコンウエハーを使用する製造ラインを3ラインから1ラインに、8インチラインを4ラインから3ラインに集約する。2010年3月末までに再編を完了し、2009年3月期に約100億円の損失を計上する見込み。
経営執行役上席常務(CFO)の加藤和彦氏は、東芝やNECを含む半導体事業の業界再編について「グローバル規模で見ると、業界の再編はあったほうがいい。波に乗り遅れないように前向きに取り組みたい」とコメント。同時に「ラインの再編1つをとっても時間が掛かる。体質強化は1年がかりになるし、大きな再編は空回りをする」と述べ、足場固めを優先する見方を示した。
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