Cisco、“配管業者”のイメージ脱却に向けて動き始める:Unified Computing Systemを発表
世界最大のITネットワーキング企業であるCiscoが、インターネットの“配管業者”というイメージから脱却し、次世代のデータセンターを実現するビジネスに注力したいと考えているというのは、何年も前から半ば公然の“秘密”であった。同社には必要な資金と人材もあれば、インストールベースとリーダーシップもある。
3月16日はCisco Systemsの長い成功の歴史の中でも際立ったビッグデーとなりそうだ。
世界最大のネットワーキング企業である同社が、インターネットの“配管業者”というイメージから脱却し、次世代のデータセンターを実現するビジネスに注力したいと考えているというのは、何年も前から半ば公然の“秘密”であった。
サーバ、ストレージアレイ、仮想化されたOS/アプリケーション/ストレージ、高速なI/O構成、ビジネス分析と集約インテリジェンス――これらはいずれも超高速ネットワーキングを必要とし、その多くは既にCiscoの製品ラインに含まれている(あるいはもうすぐ含まれる)。
CiscoはIT管理者に対して、Apple Computerが数年前に掲げていたキャッチフレーズを実行してほしいと考えている――「Think different」(発想の転換)である。それは、ネットワーク側からシステムを“立ち上げる”ということだ。その狙いは、システムインテリジェンスと仮想化機能を直接ネットワークインフラに組み込むことにより、大幅な効率化を実現するとともに消費電力を削減することにある。
Cisco、そして尊敬を集めている同社のカリスマCEO、ジョン・チェンバース氏は非常に長い間、この目標を目指してがんばってきた。その兆候は、同じくらい長い間にわたって徐々に現れてきた。
2年前、サンフランシスコで開催された「VMWorld」カンファレンスにおいて、チェンバース氏は基調講演としては異例なことに、自社の仮想化製品である「VFrame Data Center」アプライアンスの宣伝を行った。同製品は基本的に、Ciscoのデータセンター用OSである。しかしカンファレンスではVMwareの存在感が支配的であったため、チェンバース氏は“ネットワークの”仮想化の重要性を強調したスピーチを行ったのである。
同氏はデータセンターの仮想化だけについて話したかったのは明らかだったが、Cisco主催のカンファレンスではなかったので、そうもいかなかったのだろう。もちろん、その気になればできないことではなかったが。CiscoはVMwareの株主でもあるのだ。
2007年9月、eWEEKのネットワーク担当記者、ポーラ・ミュージック氏は、Ciscoでデータセンター、スイッチングおよびセキュリティ技術を担当するジェイシュリー・ウラル上級副社長にインタビューを行い、この長期的戦略について同社がどのような展望を抱いているのか話を聞いた。
ミュージック氏は、Ciscoの戦略が成功するための条件として、「同社は従来とはまったく異なるユーザー層からの信頼を獲得し、異種リソースの連携とプロビジョニングによる仮想マシンのオンデマンド構築というビジョンを彼らに受け入れてもらう必要がある」と記している。このビジョンの具現化に向けた最初の製品となるプロビジョニングアプライアンス「VFrame」は、2007年7月末にCiscoのユーザーカンファレンス「Networkers」で発表された。
それ以来、同社はずっと2009年3月16日を目標にしてきた。
「ネットワークは、(すべてのデータセンターで見られる)異種機器を接続するための理想的な手段であり、サーバやアプリケーション、ストレージなどさまざまなイメージを拡張および管理するための自然な手段である」とウラル氏はミュージック氏の取材で語った。
「仮想キャパシティを追加し、ダウンストリームストレージを構成し、各種の構成を追加/切断/削除および保守するためには、コンスタントな状態が必要とされる。これについてはネットワークが理想的な手段だ。われわれはネットワークから立ち上げ、自動ディスカバリー管理ツールの異種セットを提供するという革新的なアプローチに魅力を感じた」(ウラル氏)
ウラル氏によると、Ciscoが認識したもう1つの事実は、VFrameの奥深さが同製品がサポートすべきデバイスの数にも起因するということだ。2007年の時点では、VFrameは非常にCisco中心型の製品だった。その後、同社はSOAP(Simple Object Access Protocol) XML APIなど多数のAPIを通じてVMwareとのAPI連携を実現した。
「CiscoのData Center 3.0構想が実現するまでに、3年ないし5年かかると見込んでいた」とウラル氏は語る。
この構想の要となる「Cisco VFrame Data Center」アプライアンスは、新しいビジネスをオンライン化するのに必要なサーバ、ストレージ、ネットワークリソースをプロビジョニングするプロセスの自動化をさらに進めることを狙った製品だ。
それから約2年後、Ciscoは当初の予定よりも早く、改良されたVFrame、ならびに自社開発のサーバをはじめとする新製品を発表する準備が整ったようだ。これらが披露されるのは3月16日だ。
「これは、データセンターをどのように改造すべきかに関するアーキテクチャ的表明だ」とウラル氏は語る。「これは長旅であり、短距離競争ではない」
1980年代および1990年代に全世界で最初に構築された多数のレガシーデータセンターが、Webサービスおよび需要が増大するクラウドコンピューティングに対処するために更新されようとしている今日、ネットワーキングという視点からこの市場に参入する企業にとって機は熟したようだ。
IBM、Hewlett-Packard、Dell、Sun Microsystemsなど数十社の企業がひしめく従来のデータセンター競争に対抗する新たなレースが始まろうとしているのだ。
ベストな企業が勝利することを願うばかりだ。
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