Officeで稟議、決済を――マイクロソフトとNTTの協業が本格化:SaaS over NGNの一環
マイクロソフトとNTTデータイントラマートは、Office製品で社内の稟議や決済の承認ができるワークフロー製品を共同開発し、5月から販売を開始する。
マイクロソフトとNTTデータイントラマートは4月8日、WordやExcelといったOffice製品で社内の稟議や決済の承認ができるワークフロー製品を共同開発し、5月から販売を開始すると発表した。マイクロソフトは「SaaS over NGN」を打ち出すNTTグループと協業を進めている。将来的にSaaSとしても展開し得るソフトウェアを増やすため、今後も同様の取り組みを継続する。
両社が共同開発した製品は「intra-mart Microsoft Office連携ソリューション」。マイクロソフトの情報共有基盤製品であるOffice SharePoint Server 2007とNTTデータイントラマートのワークフロー(申請承認)製品intra-martを連携させた。マイクロソフト製品のユーザーは多い一方で、稟議や決済文書の承認などには日本独自の習慣も多く、intra-martのような国産製品に優位性がある。「両者が補完し合える」(マイクロソフト執行役常務の平野拓也氏)と判断し、2社は製品の共同開発に踏み切った。
SaaS(サービスとしてのソフトウェア)が普及する際、インフラとしてのインターネットに安定性が求められるため、NGNをはじめ、VPNなどのネットワークサービスの需要が高まるとみられている。NTTは、マイクロソフトなどのソフトウェアベンダーと組むことでSaaSにおけるインフラ構築需要を取り込む考えだ。
例えば、山梨県甲府市が構築した定額給付金の支給管理システムも、NTTコミュニケーションズが提供するVPN上でSalesforce.comを利用する形になっている。
新製品の効果
ユーザーにとって、新製品の利用効果は、使い慣れたOffice製品で休暇申請や経費精算の申請、承認などの作業ができること。申請書などを簡単に電子化できるため、内部統制の強化策としても有効としている。既存のERPや、Outolookなどと連携してデータを取得することで、休暇申請書の書式上にユーザー名や過去の休暇取得履歴、事由、休暇中の連絡先といった情報を自動で記載することもできる。
ベンダーとしての利点は、こうしたソフトウェアを将来的にSaaSとして展開し、対象ユーザーの拡大を視野に入れられる点にある。
新製品の価格は1CPUで180万円から。両社は2009年度、大企業および中堅企業200社への販売を見込んでいる。
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