日本HP、レガシーな業務システムのモダナイズを図る「AMod」を提供開始:EDSジャパンと協力
日本HPはEDSジャパンと協力し、レガシーサービスのモダナイゼーションサービスを提供開始する。メインフレームだけでなく、古いオープンシステムに悩むユーザーにも門戸を開く。
日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)は5月13日、EDSジャパンと協力しメインフレームなどのレガシーシステムからオープン系システムへの移行を支援する、アプリケーション・モダナイゼーション・サービス「AMod(Applications Modernization Services)」を提供開始すると発表した。
日本HPによると、ユーザー企業における業務システムの約70%がレガシー化している現状があるという。システムの改修を重ねたり、担当者が退職したりすることで、システムの複雑化・ブラックボックス化が進行してしまい、ビジネス効率だけでなく情報セキュリティ面でも問題が発生しているのだ。
これまでも日本HPは、メインフレームを中心とするレガシーシステムを、オープンプラットフォームへ移行させるサービス(MFA:Mainframe Alternative)を展開してきたが、昨年グローバルで買収したEDSとともにAModを提供することで、ユーザー企業の課題解決を図る。
AModには、ITインフラ中心のプラットフォーム移行で実績をもつ日本HPのノウハウと、上流コンサルティングやアプリケーション領域での移行サービスに強みをもつEDSジャパンのノウハウが融合されているという。そのため、アセスメントから移行ロードマップの策定、そして具体的な再構築まで、トータルなモダナイゼーションサービスを提供できるとしている。なおAModは必ずしもメインフレームからの移行だけをターゲットにしたものではなく、「塩漬けされた、古いオープン系システムのモダナイゼーション」というニーズに対してもサービスが提供される。
AModは、ユーザー企業が抱えるレガシーシステムの現状を分析する「アプリケーションアセスメントサービス」と、その分析結果に基づいて策定される「モダナイゼーションロードマップ」に合わせて実行される「7つのモダナイゼーションアプローチ」で構成される。アセスメントについては、ビジネス、業務機能、技術、財務の4つの観点で、レガシーシステムの現状分析とあるべき姿の提言(As Is , To Be)を行う。結果策定されたロードマップでは、中長期のIT投資/回収のモデルを提言するとともに、ガバナンスモデルとして、複数年にわたる変革を制御する枠組みを提言するという。ここには、業務、システムの移行のみならず、要員の移行を伴う提案も含まれる。
7つのモダナイゼーションアプローチは、次のように分類(7つの「Re」)されている。
- Re-Learn:コード、データおよびドキュメントを解析
- Re-Factor:コードを改修し、パフォーマンス/保守性を向上
- Re-Host:アプリケーションは変更せず、プラットフォームのみを移行
- Re-Architect:.NETやJavaなど別言語で再構築
- Replace:パッケージソフトなどで置き換え
- Re-Interface:ユーザーインタフェイス、またはシステム連携部を再構築
- Retire:適切な手順でアプリケーションを廃止
コードの改修や開発にあたっては、必要に応じ「CoE(Center of Expertise)」と呼ばれるリソースを利用できる。CoEはグローバルに配置されたオフショア環境であり、移行に必要な労働集約型作業の部分を委ねることで、工数やコストを低減できるという。
本サービスの受注については、日本HP、EDSジャパンの両社とも窓口となる。
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