SMBのIT市場、09年は5.3%減と大幅な落ち込み:IDC Japan調べ
2009年度における国内SMBのIT市場は、世界的な景気後退の影響を受け、成長率はマイナス5.3%減の3兆6153億円と大幅に落ち込む。
2009年度における国内の中堅・中小企業(SMB)のIT市場規模は前年比5.3%減と大幅に落ち込むことが、調査会社IDC Japanの発表で分かった。2009年以降もマイナス成長が続き、プラス成長に回復するのは2011年以降になるという。
同社によると、2009年の中堅・中小企業のIT市場規模は3兆6153億円で、前年より5.3%落ち込む。2008年後半から世界規模で減速した景気が中堅・中小企業の業績にも打撃を与え、2008年の市場規模は3兆8192億円(前年比0.3%減)と落ち込みの兆しを見せていた。2009年以降もマイナス成長が続き、プラス成長に転じるのは2011年以降になる見通しという。
特にハードウェア市場でマイナス成長が著しい。同市場の2009年の規模は、前年比16.4%減の1兆421億円。ソフトウェア市場の規模は8610億円で同2.0%減になる。一方で、IT関連のサービス市場の規模は同1.1%増の1兆7122億円とプラス成長を維持する。
産業分野別に見ると、金融(2008年比6.6%減)、製造(同8.5%減)などで大幅な減少が目立つ。一方で医療分野は同2.4%減と、IT投資の減少の幅は小さい。これは2012年4月から始まるレセプト(診療報酬明細書)のオンライン化への対応が始まり、医療情報ネットワークの構築需要が見込まれるなど、IT投資が継続的に続くとみられるため。
2011年までマイナス成長が続くものの、中堅・中小企業ではITで経営課題を解決したいと考える企業が依然として強いとIDCは分析。同社でITスペンディング マーケットアナリストを務める市村仁氏は「ITベンダーは、IT市場がプラス成長に回復するまでに現状の中堅中小企業向けビジネスを見直し、経営課題やニーズに合致したサービスを提供することが、今後の事業拡大には重要」と述べている。
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