マイクロソフト、Dynamics CRMをあらゆるアプリ開発の基盤にする新戦略を発表:「MS製品の集大成に」
「Dynamics CRM」を企業内のさまざまなアプリケーションを開発するための基盤として提供する。
マイクロソフトは5月29日、CRMアプリケーション「Dynamics CRM」を企業内のさまざまなアプリケーションを開発するための基盤として提供する新戦略「XRM戦略」を発表した。ISVなどが、Dynamics CRMを基盤に業種別などのアプリケーションを開発しやすくなる。
XRMのXには、サプライヤー管理や代理店管理など、業務を示すあらゆる言葉が入ることを意図している。Dynamics CRMを基盤に、ドラッグ&ドロップなどの手法を用いてビジネスアプリケーションを効率的に開発できるようにする。実態としては、Dynamics CRMの機能を異なるアプリケーション開発向けに「使いまわす」ようなイメージだ。
同社はERP製品「Dynamics AX」も提供している。これとXRMとの関係について「ERPはまず会計ありきで、人事管理、生産管理、販売管理をオールインワンで提供している。多少重なるところはある」(同社)ものの、XRMとは異なるとしている。マイクロソフトはXRMを.NETやSQL Server、Office、Outlookといった同社製品の集大成と位置付けて融合を図っている。ISVによるDynamics CRMを基盤にした業種別アプリケーションの構築を促すことも視野に入れている。
住友セメントシステム開発はDynamicsをベースにビルメンテナンス効率化ソフト「BM@FM for Dynamics」を開発した。ビル管理において、電球交換や空調トラブルなどに適切に対応し、内容を管理するといった機能を持つ。ビル管理業者向けにSaaS(サービスとしてのソフトウェア)形式で提供するソフトだ。
住友セメントシステム開発、FMソリューション部の山口浩二部長は「最初はスクラッチ開発をするつもりで、Dynamicsの利用は前提としていなかった」と話す。だが、マイクロソフトのソフトウェア+サービスの考え方に基づき、SaaSだけでなく設置型にも対応できる点を評価したという。社内の技術者が.NETの開発に慣れていたことや、ユーザーにとってOfficeのインタフェースを利用できる点も決め手になった。
Dynamicsを使ったソフトウェアを開発するグレープシティによると、XRMの考え方を用いることで、例えば大学のWebサイト上で学生の就職実績などを公開する場合に、Dynamics CRMで管理している就職データをWebサービスのアーキテクチャを用いて取り出し、そのままサイト上に表示できる。CRMで管理するデータとWebサービスで疎結合するため、連携プログラムを組むことによるシステムの複雑化を避けられるとしている。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
関連記事
- グローバル展開する日本のSMB企業が欲しがる拡張性
パシフィックビジネスコンサルティングはMicrosoft Dynamics NAV 2009 Classic 日本語版を販売開始するとともに、低コストでERP導入を可能にするスターターパックも同時に提供開始した。 - <オルタナティブ・ブログ>MSの新たなPaaS戦略の絵はSalesforceがよく使う絵とそっくり(むささびの視線)
- 日立システム、ERPで日本独自の給与体系に対応 MS・日立と協力
日立システムが日本独自の給与体系に対応するERPサービスの提供を開始する。マイクロソフト「Dynamics AX」と日立製作所の「GEMPLANET給与システム」を連携する。 - 「教育機関も競争力の強化を」――青山学院の情報システムをマイクロソフトが構築
マイクロソフトは、青山学院の幼稚園から大学院までの在校生と職員、卒業生、保護者をつなぐネットワークシステムを構築する。ログイン認証の一元化やメールサービスのホスティング提供、アプリケーションの仮想化で学内システムを強化し、学院の経営力やブランドの強化を目指す。 - MS、クラウドサービス「BPOS」販売でHP傘下のEDSと契約
Microsoftが企業向けクラウドサービス「Microsoft Business Productivity Online Suite」の販売で、HP傘下のITサービス大手EDSと提携した。 - 社内への連絡フローを自動化する新概念――米InInが開発
複数の通信手段を連携活用する「ユニファイドコミュニケーション」から一歩進んで、連絡プロセスを自動化する新たなコミュニケーション概念を米Interactive Intelligenceが提唱した。テレフォニーシステムの統合とプロセスの自動化がコスト削減につながるという。 - SMBの今年の優先課題は仮想化とSaaS――Microsoftの調査
Microsoftが各国の中堅・中小企業を対象に実施した調査の結果、各社の2009年の優先課題はセキュリティ、仮想化、IT統合であることが分かった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.