経営戦略と環境戦略は不可分――富士通 高橋常務理事(前編):日本のCGO(3/3 ページ)
国内企業における環境負荷低減への取り組みで一歩先を行く富士通。そのCGO(チーフ・グリーン・オフィサー)ともいえる高橋常務理事は「経営戦略と環境戦略は不可分。環境負荷低減を進めることがビジネスを活性化する」と指摘する。
環境とITは経営戦略において不可分
ITmedia 確かに企業の情報システム部門、またその上のCIOという層にとって、環境負荷低減が身近な課題になっているとは言えないかもしれません。コストや人的負荷など、ほかに解決すべき課題にも直面していますから。
高橋 だからわれわれも、少し作戦を変えなければいけません。ユーザーがどれだけ環境に対する意識を持っているか、それを意識する必要があります。
例えば環境貢献ソリューションとして認定されるには15%以上の削減効果が必要、と紹介しました。これはいい加減な算定をしているわけではありません。
われわれは、A4の紙1枚がCO2何グラムなのか、オフィススペースを削減した場合、単位面積当たりのCO2削減量がどの値なのかという指標を算定したデータベースを持っています。これを応用することで、環境負荷を低減することで得られるコスト削減効果をユーザーに対して可視化できます。環境戦略とIT戦略というのは、経営において不可分だといえます。
残念ながらわれわれが実施するセミナーなどでの傾向を見ると、ITコスト削減系のテーマにはCIO層だけが集まり、環境系のテーマの場合は環境部門の担当者で一杯になってしまいます。本来はその割合は等しくなるべきであり、この乖離を融合させたいと頭をひねっているところです。
糸口はあります。われわれが実施したセミナーでのアンケート調査によると、環境に関する業務について、まったくIT化されていない企業というのが非常に多いのです。
今後、企業の環境活動に対する規制や法制化が進むにつれ、報告義務が課せられる分野が増えるでしょう。その際、自社の環境活動についてITで可視化すること。この取り組みをCIOとCGOが共同で進めることになると考えています。
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