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プライベートクラウド普及の鍵はネットワークにありシステム構築の新標準(2/2 ページ)

クラウドコンピューティングが日本に本格普及するためにはサービス品質やセキュリティなどの課題への対応が急務だ。ここで鍵を握るのはネットワークである。

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 プライベートクラウドにおいては、データセンターを中心とし、業務用のアプリケーションの利用に耐えるために、冗長化も含めた広帯域かつ高信頼なネットワークの再設計が必要となる。特に突発的な通信などのネットワーク増速への対応が鍵となる。

 プライベートクラウドに移行する場合、ネットワークのコスト削減や運用管理の負荷削減も考慮しなければならない。プライベートクラウドの導入に伴い、企業がどのようにバーストネットワークを選択していくのか、その動向が注目される。

高速化するモバイルブロードバンド

 プライベートクラウドを支えるネットワークとして、固定網だけではなくブロードバンド化が進む携帯網も注目が集まる。UQコミュニケーションズが7月1日から提供する「UQ WiMAX」、ウィルコムが10月から提供予定の「WILLCOM CORE XGP」、NTTドコモなどが2010年にも提供を予定している3.9世代のLTEなどが挙げられる。いずれも、数十Mbps以上の通信が可能となり、外出先からのプライベートクラウドへのアクセスなど、利用範囲は広がることとなるだろう。

ネットワークワイドでサービスレベルを

 この先、企業がプライベートクラウドを信頼性の高い環境上で利用していくためには、SaaSやPaaSのレイヤーだけでなく、ネットワーク部分まで含めた一体的なサービスレベルを考えていくことが重要となる。NTTは「CBoC(Common IT Bases over Cloud Computing)」という開発名で、クラウドコンピューティングにおいてのシステム品質や、セキュリティや運用性、信頼性などSaaSやPaaSに必要な非機能要件を実現する基盤技術の開発を進めている。

 これまでのネットワーク設計・構築ノウハウを生かしたキャリアグレードでネットワークワイドなサービスレベルを管理するクラウドコンピューティング基盤の提供が期待される。

クラウドとネットワークの融合

 情報通信機構(NICT)などは、2006年から「AKARI」プロジェクトをスタートした。本プロジェクトでは新世代ネットワーク(New Generation Network:NWGN)の研究開発戦略の検討が始まっている。NWGN は、IPを使わないネットワークでアプリケーションに連動し、動的にトラフィックや経路を制御するといった技術が検討されている。2016年ごろには一部の環境をNWGNに移行する計画がある。NWGNの普及が実現すれば、ユーザーはネットワークをあまり意識しないクラウド環境を利用できるとしている。

 企業がプライベートクラウドを利用するに当たって、これまでデータセンター内にあるコンピュータリソースや仮想化技術などが注目されてきた。今後、本格的導入検討期を迎える際には、データセンターセントリックなネットワーク設計や、ネットワークまで含めたサービスレベルの在り方について、もう少し踏み込んだ議論が必要となってくるだろう。

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著者プロフィール:林雅之 ICT企業勤務

顧客へのICTコンサルティング、情報通信政策の調査・分析、SaaSビジネス推進、プロジェクト総括、ナレッジマネジメント推進などにたずさわる。著書『「クラウド・ビジネス」入門 -世界を変える情報革命』


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