信頼されるアドバイザーへの道〜『選ばれるプロフェッショナル』:マネジャーに贈るこの一冊(2/2 ページ)
部下というクライアントに選ばれるために、マネジャーはどうあるべきか――プロフェッショナルのあるべき姿を書いた書籍を題材に、マネジャーが持ちたい視点や心のありさまを読み解いていこう。
著者は「優れた判断力」「分別」「一貫性」「行動」の4つを、「誠実さ」の要素として定義しています。例えば「優れた判断力」では、信念(6つめの特質)に従って行動するだけではなく、その信念が道徳的かつ倫理的なものでなければならないことを、このように説明しています。「例えばヒトラーは、誠実さに関する多くのテストにはパスしている。彼は一貫して自分の信念どおりに行動したということだ。だが彼の信念は邪悪であり、間違っていた。そこには優れた判断力はない」
「誠実な行動」というキーワードでは、わたしが大事にしているリストがあります。拙著『リスト化仕事術』でも紹介させていただいたリストです。
著者が描く「信頼されるアドバイザー」のあるべき姿は、圧倒的なまでに高潔で有能です。最近、「あなたもこの本を読めば○○になれますよ」式の本を読み慣れていた身には、ピリッとくるものがありました。目標とすべき職業人像を描くためのヒントを、たくさんもらいました。
今週のマネジャーに贈るこの一冊
選ばれるプロフェッショナル ― クライアントが本当に求めていること
ジャグディシュ・N・シース (著), アンドリュー・ソーベル (著), 羽物 俊樹 (翻訳)
英治出版
2009年7月22日
ISBN-10: 4862760562
ISBN-13: 978-4862760562
2100円(税込み)
コダック、モトローラ、アメリカン・エキスプレス、シティバンク、イーライ・リリー、ゼネラル・エレクトリックなどの企業幹部へのインタビューと、偉業を成し遂げたアドバイザーたちの研究から、この競争の激しい時代にプロフェッショナルが築くべき特質を明らかにする1冊。
著者プロフィール:堀内浩二
株式会社アーキット代表。グロービス・マネジメント・スクール講師などを兼任。
「個が立つ社会」をキーワードに、個人の意志決定力を強化する研修・教育事業に注力している。工学修士(早稲田大学理工学研究科)取得後、外資系コンサルティング企業(現アクセンチュア)入社。シリコンバレー勤務を経験。帰国後日米合弁のベンチャー企業にて技術および事業開発を担当。2002年より現職。
著書に『クリエイティブ・チョイス』『「リスト化」仕事術』(『リストのチカラ』の文庫化)がある。「起-動線」「*ListFreak」などのサイト運営も手掛けている。
ITmedia オルタナティブ・ブログにて「発想七日!」を執筆中。
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