情報処理推進機構(IPA)は11月5日、10月のコンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況を公表した。偽セキュリティ対策ソフトの感染が1年ぶりに高い水準にあることが分かった。
IPAによると、偽セキュリティ対策ソフトの感染報告数は約5万件に上った2008年10月以降、報告の少ない状態が続いていた。しかし2009年は9月に約4万件、10月に3万件超の報告があり、1年ぶりに高い水準となっている。
感染のきっかけは、改ざんされたWebサイトの閲覧や実在する企業などの組織名をかたった不審なメールによる場合が多く、10月には米Microsoftのサポートを装うメールが見つかっている。偽セキュリティ対策ソフトは、OSやアプリケーションなどに存在する脆弱性を突いて実行されてしまい、ウイルス感染を警告する偽のメッセージを表示して駆除するためのツールやサービスを購入するようユーザーを脅迫し続ける。
感染を予防するには、OSやアプリケーション、正規のセキュリティ対策製品を最新の状態にし、不審なメールを安易に開かないなどの行動が求められる。感染しても冷静に対処し、正規のセキュリティ対策ツールで偽ソフトを駆除したり、OSの復元機能で感染前の状態に復旧させたりできるとしている。
10月のウイルス検出数は、前月比7.8%減の約7万個で、届出件数は同6.9%減の1210件だった。検出数トップは「W32/Netsky」の約5万9000個だった。不正アクセスの状況は、届け出件数が21件で、被害があったものは11件。内訳は不正侵入6件、なりすまし6件、メールの不正中継1件、サービス妨害(DoS)攻撃が1件だった。
また、ウイルス・不正アクセス関連の相談総件数は2049件に上り、このうちワンクリック不正請求にかんする相談が793件と過去最高を記録した。
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