Amazon EC2でもサービスイン、シマンテックのクラウド戦略
シマンテックは、クラウドコンピューティング市場に向けた戦略を明らかにした。具体例にはAmazon EC2で利用できるストレージ管理やセキュリティ対策があるという。
シマンテックは12月10日、クラウドコンピューティング市場に向けた事業戦略を報道向けに説明した。製品およびサービスの両面で3つの取り組みを推進すると表明している。
日本市場で事業を担当するシステムエンジニアリング本部長の有吉純氏は、3つの取り組みについて、1)シマンテック自身がクラウド事業者になる、2)クラウド事業者向けのインフラ製品の提供、3)すべての既存製品をクラウド環境に対応する――と紹介した。
同社ではVeritasブランドなどのストレージ管理、データバックアップ/保護、セキュリティ対策の製品を主力にしており、クラウドコンピューティング市場もこれらの製品群を積極展開するという。1については、すでに家庭向けセキュリティ対策製品のNortonシリーズで提供するオンラインバックアップサービスや、同社が買収したMessageLabsによるメールセキュリティのホスティングサービスがある。
有吉氏は、「オンラインバックアップサービスでは約900万ユーザーから42ペタバイトのデータを保管し、MessageLabsのサービスでは2万1000以上の3億通以上のメールを保護している」と述べた。自社サービスで培ったノウハなどが、ほかのクラウドサービス事業者や企業自身が構築する「プライベートクラウド」に貢献できるとしている。
2および3を具体化した例が、米国で9日から開始したAmazon EC2ユーザーへのストレージ管理およびセキュリティ対策のサービスになる。米Symantecは、サーバおよびPC向けの統合セキュリティ対策製品とストレージ管理製品「Veritas Storage Foundation Basic」をAmazonに提供。AmazonはEC2のコンピューティングリソースをレンタルしているユーザー向けに、これら製品の機能を1時間単位で使えるようにした。
有吉氏によれば、現在グローバルで展開する約200種類の製品(うち日本向けは100種類強)をすべてクラウンドコンピューティング環境で運用できるようにする。また、ハードウェアベンダーとも提携し、Symantecのソフト製品を実装したアプライアンスも展開していく。
10月には中国の華為技術(ファーウェイ)と開発したファイルストレージ「Symantec FileStore」を発表。同アプライアンスは最大2ペタバイトの容量を持ち、ストレージ管理機能とセキュリティ対策機能を統合した。国内では2010年春に正式発表するという。
有吉氏は、「当面はこれらの戦略で全社売り上げの15%をクラウドコンピューティング事業で占めるようにしたい」と目標を語っている。
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