2010年の「ニューノーマル」――IDC Japan10の予言
IDC Japanは、技術や市場トレンド、ベンダーの動きなど日本市場全体に重要なインパクトを与える項目10件を抽出し、2010年の市場概況と同社の見解を示したリポートをまとめた。
IDC Japanは12月15日、技術や市場トレンド、ベンダーの動きなど日本市場全体に重要なインパクトを与える項目10件を抽出し、2010年の市場概況と同社の見解を示したリポートをまとめた。
同社が取り上げた国内IT市場主要10項目は以下のとおり。
- 国内IT市場は2009年に大幅縮小し、2010年はきわめて低い成長率にとどまる
- 仮想化の対象がストレージやネットワーク機器にも拡大し、ITインフラの統合管理ツールへの需要が本格化する
- クラウド上でのシステム/アプリケーション開発環境が整い、クラウドへの流れが加速する
- 新政権による政策の追い風を受け、地球温暖化防止に向けたITの利活用が本格化
- スマートグリッドへの取り組みと、社会インフラ向け大規模システム開発が新たなテーマとして浮上する
- 高速無線データ通信サービスの開始によって、消費活動に連携したアプリケーションの多様化が進む
- パンデミックへの対応を契機に、ユニファイドコミュニケーションの本格導入が始まる
- クラウドへの対応が新たなハイブリッドセキュリティ対策需要を喚起する
- システム開発のグローバル化と、国内システムインテグレート事業の再編が加速する
- 市場分析/経営分析ツールが注目を集め、BI/BA市場が急拡大する
同社では、2010年も企業の投資意欲は慎重な姿勢を継続するとしながら、新たな技術への移行、地球温暖化対策やインフラなど社会全体のエネルギー効率改善に向けた大規模なプロジェクトが動き出すとしており、これまでとは次元の異なる競争ルールへの移行が必定であると警鐘を鳴らしている。同社はリポートの中で、「ニューノーマル」という言葉を用い、新たな時代への意識変革を促している。
挙げられた項目の中にはすでに2009年の段階から注目されていたものもあるが、注目したいのは第7項目。同社では、2010年はパンデミック対策への対応手段として、音声、データ、ビデオを統合したユニファイドコミュニケーションシステムによるモバイル業務遂行環境への関心が高まるとしている。ワークスタイルの変化なども併せて進むかが注目される。
また、第9項目も注目したい。その中では、ビジネスのリアルタイム性とグローバル性が求められる状況の中で、独自システムの開発や維持管理は難しいとしており、さらに、発注者であるユーザー企業そのものが、日本国内から海外に拠点を移し、業務の絶対量が減少の方向にある点が指摘されている。国内に事業の基盤を置き、従来の個別システム開発を主体とするシステムインテグレーターの多くは、その事業モデルの再構築を迫られることになると結んでおり、国内のシステムインテグレーターの次の一手が注目されるところだ。
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