変わる世界:伴大作の木漏れ日(3/3 ページ)
2010年と年が改まった。それがどうしたと言われても困るが、ともかく真っ暗闇の中をライトもつけずにダッチロールを繰り返した2009年が終わり、新しい年を迎えたという点では朗報だ。
大胆な選択と集中の時
僕のベンダーとの付き合いは長い。そんな関係で、ベンダーに行って、ビジネスの状況を聞くチャンスも多い。日本のコンピュータベンダーはさまざまなビジネスを行っている。シェアをそれほど獲得できていないケースもよくある話だ。該当する部門の採算性を聞くこともあるが、彼らの答えはおおむね採算が取れているというもの。これが、いつまで経ってもそのビジネス部門を整理しない理由だ。もし、その部門が赤字なら、事業再編もあり得るのだろうが、黒字ならなかなか手を付けられない。
こうして、日本では、採算ぎりぎりの部門を抱えた企業が多数派になってしまう。僕の感覚だが、本当にもうかっている部門は、どの企業でもそれ程ないはずだ。ほとんどの部門は赤字か黒字でも微々たる金額だろう。
もし、そのような企業の幾つかが、お互いにそのような部門を整理し、1つの会社として統合したら、世界的なシェアも高まり、市場支配力も高まる。当然、部品の購入や生産も合理化され利益も高まる。例えば、IA(インテルアーキテクチャ)サーバとかプリンタ、ディスプレイなど今や生き残りに汲々としているビジネスは、個々の企業の利害を捨てて、日本企業全体で統合すべきだ。そうしないと、世界では生き残れない。
グローバルなプレゼンスを考えるなら、いますぐ「企業エゴ」を捨て、そのビジネスの将来性に賭けるべきだ。自分たちのビジネスだけでなく、日本の将来への視点を本気で持たなくてはならない局面が本格的に訪れようとしている。
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