あれ? このマウス“線”がないんですけど。:悲しき女子ヘルプデスク物語(3/3 ページ)
わたしがもらっちゃったエアマウスに興味を示しまくりの同僚がいると同時に、イマドキのマウスには電池が必要なことを知らないワカモノだっている。入力装置へのこだわりは人それぞれです。
え? マウスは電池で動くのよ?
新人 マウスって電池が入っているんですね!
え? 知らなかったの?
わたし これ、あなた個人のマウスじゃないの?
新人 友達が新しいマウス買ったからというので、これをくれたんです。自宅ではノートPCを使っているから、会社に持ってきたんですよ。マウスって、電池で動くんですね。知りませんでした。
なんと……。確かにキーボードやマウスにも電源が供給されているってことは、あまり意識しないかもしれない。ハードウェアに興味がないと、こんなものなのかしら。新人クンのマウスに、会社にある買い置きの乾電池を入れたら、この問題はあっさり解決してしまった。とはいえ私物に会社の乾電池を支給するのは、ちょっと問題があるだろう。とはいえ充電池を充電するには充電器が必要だが、会社にはない。ということで、今日のところはかつてそのPCにつながっていた、線のあるマウスを使ってもらうことにした。自分が会社にエアマウスやRealforceキーボードを持ってきている手前、私物のマウスを会社に持ってきたことは、この際目をつぶろう。新人クンには、充電池は自宅で充電したらまた使えるようになるよ、とだけ言っておいた。あの調子だと、きっと彼の自宅にも充電器はないだろうけれど……。
自分の席へ戻りながら、あの充電池を会社で充電したら、結局会社の資産を私物のマウスのために使うことになるよなあ、それって結局、会社の乾電池を私物のマウスの中に入れるのと同じことかしら? などと考えるわたし。そんな細かいことに目くじらを立ててもキリがないのだが、どこかで明確な線引きが必要だろう。
自分の執務室に戻ると、PCに向かって怪しく、そして不気味に踊っているAさんが、目に飛び込んできた。なにやらパントマイムのようなスローな動きである。
あ! そうか。エアマウスを操作しているのだ。Aさんの顔は楽しそう。何かにとりつかれたかのように、踊っている。いや、エアマウスを操作しているのだが、どう見ても踊っているようにしか見えないのだ。だって、エアマウスを右手で持って操作しているんだけど……左手や腰もそれにつられて踊っているような動きをしている。
怪しい。実に怪しい。でもひょっとして、昨夜のわたしも、あんな感じだったのかな?
そう考えると、エアマウスのスゴさが分かる。なにせ、机上モードと空中モードを両方備え、それがシームレスに切り替わるのだから。スイッチを操作する必要もない。机の上に置いたら自動的に机上モードになるし、机から持ち上げたら自動的に空中モードになる。とっても自然に切り替えられるのだ。通常業務ではやはり机の上で操作をし、そしてPCから離れたところから操作するとか、プレゼンテーションするとか、そういったエアマウスの利点が生きる状況では、空中モードの威力を発揮してもらうといった使い方が、正しいのだろう。決して空中モード「だけ」で使うことを前提にしたような、キワモノマウスではないのだ。
入力デバイスは最近、どんどん進化していっている。携帯ゲーム機にもタッチペンがついたし、家庭用ゲーム機のコントローラもワイヤレスが当たり前。画面にコントローラを向けて操作するような家庭用ゲーム機もある。iPodしかり、Windows 7しかり。これからもどんどん進化していくのだろう。そして進化の方向はどうやら、モニタに対して直接的に操作する、というような方向に進んでいるよう。昔、マウスを画面にくっつけているおじさんをネタにする向きもあったが、そんなおじさんは実は先駆者だったのかもね。
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