クラウド時代のシステムインテグレーターの役割:Weekly Memo(2/2 ページ)
マイクロソフトが先週発表したクラウド導入計画コンサルティングサービスは、まさに今の企業ニーズをとらえたものといえるが、一方でシステムインテグレーターの役割の変化も浮き彫りになってきた。
求められるサービスインテグレーターへの転換
こうしたコンサルティングサービスは、まさにクラウド時代を迎えた今の企業ニーズをとらえたものといえる。クラウドサービスを展開するベンダーにとっては顧客獲得のきっかけになるだけに、マイクロソフトに限らず、大手システムベンダーもこぞって同様のサービスの整備・強化を急いでいる。
だが、ユーザーからみると、根本的な懸念がつきまとう。それは、ハードウェアにせよソフトウェアにせよ、プラットフォームベンダーが提供するコンサルティングサービスでは、それぞれのベンダーのプラットフォームを採用するのが前提となる可能性が高いことだ。
発表会見でこの点を問われた畑氏は、「新サービスの計画フェーズは、まずクラウドの利用の仕方を検討するもので、特定のプラットフォームを前提としているわけではない。実際にはハイブリッド型で全体最適化を図っていくケースが多くなるだろうが、異なるプラットフォームのオンプレミスシステムやクラウド間の連携については、ほかのプラットフォームベンダーやパートナー企業との協業を進めていく」とし、パートナー企業に対しては新サービスの展開で得たノウハウを積極的に開示していく姿勢を明らかにした。
では、プラットフォームの選択肢も保持した上でクラウドの利用の仕方を検討したいというユーザーニーズには、誰が応えるのか。その役割を担うのが、まさしくSIer(システムインテグレーター)である。
ITリソースの「所有」から「利用」へのパラダイムシフトを起こしつつあるクラウドサービスは、これまでオンプレミスのシステム構築を生業にしてきたシステムインテグレーターに抜本的な業態転換を迫っている。その内容を一言でいうならば、SIの「S」をシステムからサービスへ変えた「サービスインテグレーション」への転換だ。
逆に言えば、サービスインテグレーターへの転換を図り、プラットフォームの選択肢も保持したうえでクラウドの利用の仕方を検討したいというユーザーニーズに応えられるシステムインテグレーターがどんどん出てくることが、IT業界の健全な発展のためにも不可欠だと考える。システムインテグレーターにとっては、まさしくここが正念場である。
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プロフィール
まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。
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