“標準化”って、ムズかしい。:悲しき女子ヘルプデスク物語(3/3 ページ)
同じWordのファイルを扱うにしても、Tabの使い方を知ってる人とそうでない人では、使いこなしに大きな差がでる。でも使用機能を標準化しようとすると、基準についてのトレーニングも必要になるし……。ああ、悩ましい。
標準化って、難しい
翌日の昼休み。つい油断して、大あくびをしたわたしを見て、同僚のA子が声を掛けてきた。
A子 女性がそんなあくびをするものじゃないよ。さては夜更かし?
わたし うん。昨日は夜、遅かったんだよね。
A子 でも定時で帰ってたじゃない。さては……?
興味津々、という様子で聞いてくるA子。
わたし 実はデートだったのよ♪ 叔母さんとだけど。
A子 あはは。何かトラブルがあったんだ。
さすが、付き合いが長いだけあって、よく分かってらっしゃる。
わたし まあ、Word の文書に、Tabが入っていただけなんだけどね……。
A子 Tabかあ。社内でもTab関連の質問、多いよ。
わたし 知っていて使うのはいいけど、ファイルを引き継いだ人のスキルによっては、困ることもあるんだよね。
A子 フィールドの設定とか、マクロとかも、使いこなしている人は当たり前に使うけど、次に使うのが新人クンだったりすると、もう質問の嵐……。新人研修でも社内研修でも、そこまでは教えないしねえ。
最近の新入社員研修や、若手社員向けの研修などでは、Wordそのものの基本的な使い方は、扱わないことが多い。どちらかというと、公式な文書の書き方や、メールのマナー、そしてセキュリティの設定などが中心だ。もっと、WordやExcelなど業務でよく使うアプリケーションのTipsを紹介する研修があっても、いいかもね。
それとも、アプリケーションの機能として使うもの/使ってはダメなものを、社内で統一したほうがいいのだろうか? ある人が使った機能を、別の人が理解できるとも限らないし。いやいや、皆がその機能を使えるようにトレーニングするほうが先だろうか。社員のスキルがばらばらになっていては、今後もヘルプデスクの仕事は減らないだろうし……。
操作面でのヘルプマニュアルも必要だろうな。ああ、でもわたし自身がマニュアルを読まないから、ダメか……。
その後もA子とは、“アプリケーションごとにどの機能を標準とするか”について会話が続いた。でもそんなの、一律に決められるわけがない。そもそも、標準を定めたところで、どうやってそれをみんなに伝達し、トレーニングするんだろう。講師はだれが務めるのだろう。もしかして、わたしたちヘルプデスクのスタッフ? さらには、そういう標準を決めたら、新入社員研修で教えないといけないのか? あれ? 仕事が増えてるじゃん。まあ、うまくいけば楽になるかもしれないけれど、なんだか、自分で自分の首を絞めているような気もするよね。
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