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冷え込むHPC市場、ただし高価格帯は強い需要
IDC Japanの予測によると、国内のHPC市場規模はマイナス3%のCAGRで推移し、2014年は約355億円になるという。これは、直近ピークの2005年と比べると約30%縮小した市場規模だ。
IDC Japanは6月15日、2010〜2014年の国内ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)市場規模予測を発表した。2009年の国内HPC市場規模は、前年比6.9%増の410億9000万円。以後、年間平均成長率(CAGR)はマイナス3%で推移し、2014年の市場規模は354億7200万円と予測している。直近ピークの2005年と比べると、約70%の市場規模だ。
2009年の国内サーバ市場全体が前年比19.2%減となる中、同市場が2009年にプラス成長を実現できたのは、海洋研究開発機構に出荷された「地球シミュレータ」に代表される、5000万円以上のシステム導入案件が官公庁や大学など学術系HPCの領域で多く存在したため。5000万円未満のHPC市場はマイナス成長となっている。
なお、民間企業の「産業系HPC」は、景気後退の影響を受け、出荷金額全体に占める割合は25%程度にまで落ち込んでいる。
IDCが発表している同市場のグローバルな動向では、2009年の売上高が86億ドルとなっており、こちらでもハイスペックな高価格帯のシステムが売り上げを伸ばしている。欧米では産業系HPCの導入が日本と比べて進んでおり、HPCという計算資源が競争力の源泉となっている部分がある。国内のHPC市場が落ち込む中、産業系HPCの盛り上がりに期待したい。
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