Windows 7は、ITインフラの更新を計画している企業の間で訴求力を高めているようだ――米Computer Economicsの調査レポート「Technology Trends 2010/2011」はこのような見方を示している。
IT管理者向けに調査レポートや各種データを提供しているComputer Economicsでは、2010年上半期に200社余りの企業のIT部門を対象に調査を実施したところ、昨今の世界的不況の影響でIT予算が緊縮傾向にあるものの、IT管理者たちは一部の分野に重点的に投資する意欲を高めていることが明らかになった。
Windows 7もそうした重点分野の1つに含まれているようだ。2010年初頭の時点で同OSに既にアップグレードしていたのは、調査に回答したIT部門の3%にすぎないが、同OSへの移行の費用をIT予算に計上していたのは約31%だった。
「経費節減傾向と新システムへの投資意欲が全般的に低下している状況からすれば、この結果はやや意外だった」――Computer Economicsの調査担当副社長ジョン・ロングウェル氏は7月27日付の発表資料でこのように述べている。「企業の間でWindows 7への移行が本格的に始まろうとしている」
約29%のIT部門が「デスクトップの仮想化に投資している」と回答し、「ユニファイドコミュニケーションへの投資を現会計年度の予算に計上している」と答えたのは40%で、これらの技術も重点投資分野であることがComputer Economicsの調査で明らかになった。一方、データセンター統合や10ギガビットイーサネット(10GbE)などの分野への投資意欲は比較的低いという結果が示された。
米Microsoftはクラウドに注力する姿勢を大々的に表明しているが、依然として収益の大半を伝統的な製品ライン(特にWindows)に依存している。Microsoftは7月22日の収支報告で、昨年10月にWindows 7をリリースして以来、同OSを1億7500万ライセンス販売し、これがWindows部門の四半期売上高45億ドルおよび同社の四半期総売上高160億ドル4000万ドルに貢献したと述べた。
「クラウドをめぐるMicrosoftのメッセージは次第にアグレッシブになってきたが、前四半期の主要な収益源となったのは同社の伝統的ビジネスだ」――米Technology Business Researchのアナリスト、アラン・クランス氏は、7月22日付のリサーチノートにこう記している。「先行き不透明な景気状況にもかかわらず、Windows 7とOffice 2010が同社の売り上げ拡大に大きく貢献した」
IT各社が四半期決算期を迎える中、アナリストらはMicrosoftが企業のIT投資拡大の恩恵を受けると予想している。数四半期にわたる緊縮予算で不況を耐え忍んできた大企業および中堅・中小企業の間で、ITインフラの更新が始まっているからだ。
米Jefferiesのアナリスト、キャサリン・エグバート氏は、7月19日付のリサーチノートに「企業でのPCおよびサーバの更新サイクルが迫ってきたことを示す証拠が、今後さらに多く現れるだろう」と記している。「Intelなどの企業の最近の報告は、待ち望まれていたPCとサーバのアップグレードサイクルが始まったことを示している」
Microsoftにとって問題は、これらの企業の需要が同社の新しい製品ラインに結び付くかどうかだ。
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