「日本社会に貢献」――シスコが次年度の事業戦略を発表
2011年度の事業戦略説明会をシスコシステムズが開催。新たな経営ビジョンを発表し、日本市場でのさらなるビジネス拡大を誓った。
シスコシステムズは10月6日、2011年度の事業戦略を記者およびアナリストに向けて説明した。今年8月に就任した平井康文社長は新たな経営ビジョンである「Ignite Japan!(日本を燃え上がらせる)」を発表するとともに、ネットワークを中核としたソリューションを通して日本の社会や経済、環境(グリーン)に貢献していくと力を込めた。
インターネット産業の急速な発展により、ネットワーク分野に主軸を置くシスコが果たす役割は大きくなってきている。ルーターやスイッチといったネットワーク機器にとどまらず、現在では、電子メールやインスタントメッセージなどのユニファイドコミュニケーション(UC)ツール、さらにはビデオ会議システムまで幅広い製品やサービスを提供するに至る。こうした中で打ち出した経営ビジョンについて、平井氏は「3〜5年かけてじっくり取り組むテーマ」だと、腰を据えて日本市場のさらなる開拓に努めていく考えを示した。
具体的な戦略として、「アーキテクチャとソリューション」「パートナーシップの強化」「次世代企業の創造」の3つを挙げた。アーキテクチャとソリューションでは、「クラウドサービス」と「Smart+Connected Community(S+CC)」に注力する。クラウドサービスについて、プライベートクラウド(企業内クラウド)とパブリッククラウドの双方を支援する。S+CCは、交通やビル、教育、医療など都市を構成するさまざまなものをIPネットワークでつなぐというサービスインフラ基盤である。
パートナーシップの強化では、従来のようにシステム(製品)単位の縦割りのパートナーシップから、垂直および水平統合したソリューション単位でのパートナーシップを構築していくとした。
次世代企業の創造では、シスコ自らが企業の組織変革の旗振り役となり、自社で蓄積した経験やノウハウを顧客に提供していく。例えば、新しい働き方の提案として、同社のコラボレーションツール「Cisco Quad」の活用を紹介した。Quadは、音声と動画によるコミュニケーション機能、ソーシャルネットワーキング機能、プレゼンス機能などを統合したツールで、社員は社内向けのプロフィールを作成して情報を検索したり、必要な技術を持つ社員を探して問い合わせたりできる。平井氏は「シスコの経験をロールモデル、ベストプラクティスとして幅広く顧客に紹介していきたい」と述べた。
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