企業セキュリティ市場に新風を巻き起こすKaspersky――日本での展開を聞く:Report(2/2 ページ)
コンシューマー向けセキュリティの印象が強いKasperskyだが、グローバルでは約20万社の企業顧客を抱える。このほど企業セキュリティ分野での事業強化を表明した同社幹部に、日本での展開について話を聞いた。
“手厚い”サポートを目指す
法人向け製品の販売について、Kasperskyではパートナー経由と直販経由の2つモデルをグローバルで構築している。中小企業顧客向けはパートナーモデル、中堅企業と大企業の顧客向けには2つのモデルを併用している。「中小企業顧客にはパートナーを通じてサポートを提供する。より規模の大きな企業顧客には、パートナーとわれわれで技術的な対応を含めたサポートを提供している」(フルーマン氏)
同社の経営戦略は、まず新規市場でコンシューマーユーザーの開拓に注力し、ブランドとシェアを確立した上で法人市場に参入するというものである。フルーマン氏は、「個人利用で親しみのある製品を会社でも使いたいというファンを増やす。事業展開が早かった欧州では1500社ものパートナーを獲得している」と話す。日本ではジャストシステムを通じてコンシューマー市場の開拓を進めてきたが、2011年からは法人向けビジネスのパートナー開拓を本格的に進めるという。
フルーマン氏は、パートナーや企業顧客への施策として「充実したレファレンスと事例の提供に注力したい」と話す。セキュリティ製品を自身の環境に合わせて最適化したいというニーズは、コンシューマーよりも企業の方が高く、企業顧客や彼らを支援するパートナーやシステムインテグレーターからの多彩な要件に対応できる豊富な情報を提供していく。
「Webブラウザの設定やサーバへの導入をどうしたらよいかといった、きめ細やかな要望に応えられるレファレンスを準備している。新製品を容易に導入できるようにするために、先行導入の事例も提供していきたい」(フルーマン氏)
また同社には800人の開発スタッフが在籍し、各国の市場から寄せられるニーズに迅速に対応できる体制だとフルーマン氏は強調する。現在は新製品のローカリゼーションを進め、日本市場向けに2011年前半の発売を目指している。また、セキュリティサービスを提供するプロバイダーや通信事業者向けの製品も2011年第1四半期から本格展開する。
本社にあるユージン・カスペルスキーCEOの執務室。同じフロアにマルウェア解析チームのラボがあり、新たな脅威が発見されるとすぐにCEOが駆けつける。サポートや製品開発における同社の意思決定を早く行うためでもあるという
日本市場での展望についてフルーマン氏は、マスケル氏と同様に新製品が競合他社に対するアドバンテージになると主張。「大手ベンダー数社が市場を占有する状況は、どこの国でも同じだが、われわれはグローバルシェアで4番手の位置に来た。特に品質と価格の両面で高いレベルが求められる日本は、非常に有望な市場だ」と語っている。
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