富士通と京大、数式処理の世界記録を達成
京都大学情報学研究科の木村欣司特定准教授が、世界初となる16次方程式の判別式計算に成功。京都大学にスーパーコンピュータを納入した富士通が発表した。
富士通は6月27日、京都大学情報学研究科の木村欣司特定准教授が、数式処理による16次方程式の判別式計算に世界で初めて成功したと発表した。建築物から半導体に至るまで、幅広いものづくり分野における品質向上や歩留まり改善などを将来的に実現するという。
判別式とは、方程式の解の有無やその個数を判別するための公式のこと。例えば2次方程式の判別式は、b2乗マイナス4acという二項式で表される。
従来の世界記録も木村准教授が達成した15次方程式の判別式計算(約6億6000万項)だったが、今回の記録更新によって16次方程式の約38億項もの判別式計算を可能にした。
16次方程式の判別式は既に数学的には解明済みだったものの、その莫大な項数を実際に計算することは、従来の計算技術やコンピューティング技術では不可能だった。
今回の記録更新においては、富士通が京都大学学術情報メディアセンターに納入したサーバ「SPARC Enterprise M9000」とミドルウェア「Parallelnavi」から構成するスーパーコンピュータを利用し、その上で富士通研究所の数式処理技術と木村准教授が新開発した高速計算アルゴリズムを組み合わせることで、約38億項・88Gバイトにも及ぶ16次方程式の判別式計算を実現した。
木村准教授が新開発した計算アルゴリズムは、「多項式補間法」に基づく新しいアルゴリズム。行列式の数式処理に必要となる計算量を、従来と比べて大きく削減したという。
富士通は、今後も数式処理計算技術の開発および実用化を進め、新しいものづくり支援サービスの提供を目指す。
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