レッドハット、仮想化ソフト「RHEV 3.0」の国内提供を開始 管理ツールをOSS化
RHEL 6.2ベースのハイパーバイザーを採用したことでパフォーマンスを強化。管理ツールのオープンソース化によって機能を拡張した。
レッドハットは1月25日、仮想化ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization 3.0」(RHEV 3.0)の国内提供を開始した。Red Hat Enterprise Linux 6.2(RHEL 6.2)をベースとしたKVMハイパーバイザーの採用によってパフォーマンスを強化したほか、管理ツールのオープンソース化によって多くの機能強化を実現したとしている。
RHEL 6は、RHEV 2.xが採用していたRHEL 5と比較して、CPUの理論限度を約16倍、メモリの理論限度を約64倍に拡張している。RHEV 3.0はRHEV 6.2ベースのハイパーバイザーを採用したことで、(1)カーネルスケジューラの改良、(2)メモリ管理の拡張、(3)ブロックI/Oの強化、(4)ネットワークの強化――などを実現したという。また、デスクトップ仮想化のためのプロトコル「SPICE」をWAN環境向けに最適化した。
RHEV内で提供される管理ツール「Red Hat Enterprise Virtualization Manager」も強化した。同ツールの実行環境はこれまでマイクロソフトの.NETだったが、オープンソース化によってRHEL上のJBoss Enterprise Application Platformで動作するJavaアプリケーションとした。これに伴い、仮想マシンのユーザー自身が利用環境を管理できるようにする「Power User Portal」、他社製の管理ツールとの連携のための「RESTful API」など、1000以上の機能拡張を図っているという。
レッドハットの石井明マーケティング本部プロダクトマーケティングマネジャーは、「70%以上の企業のCIOが、複数のベンダーの仮想化ソフトを“利用している/今後利用したい”と考えている」という米IDGの調査結果を引用。さらに、RHEVは同市場シェアトップの「VMware vSphere」と比較して全体的な運用コストが低いとし、「これまでエンタープライズにおける仮想化ソフトの選択肢はVMwareしかなかったが、(RHEV 3.0の国内投入によって)選択肢を広げていく」と強調した。
サーバ仮想化ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization for Servers」の年間利用価格は、スタンダード版が6万4900円/1ソケット、サポートを拡充したプレミアム版が9万7400円/1ソケットから。デスクトップ仮想化ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization for Desktops」の年間利用価格は、スタンダード版が4万8800円/25ユーザー、プレミアム版が7万3200円/25ユーザーから(全て税別)。
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